インドネシアの農村住民を対象に、自分 (あるいは親) と似た顔を好むかどうかを検討した研究。短期的パートナーに対しては類似度は影響しなかったが、長期的パートナーに関しては、女性は自分と似た顔を嫌う傾向、男性は自分の母親と似た顔を嫌う傾向が見られた。
スピンバイクを使い、喉が渇いた状況に実験参加者を置き、水を他の参加者と分けるかどうかを独裁者ゲームの枠組みを使って調べた実験研究。お金に比べて、水の分配量が多いことがわかった。また、運動量と連動しない形で得られたお金はよく分配されるが、水に関しては運動量と連動しようがしまいが、違いはないことが分かった。
Ohtsubo, Y. & Watanabe, E. (2013). Unintentional unfair behavior promotes charitable donation . Letters on Evolutionary Behavioral Science, 4 (1) , 1-4. doi: 10.5178/lebs.2013.24
独裁者ゲームの修正版を利用。分配者はカードを引いて偶然 (実際には操作されている) に不公平な分配か公平な分配を行う。(意図しない) 不公平な分配をした場合に、慈善団体への寄付額が高まることが明らかになった。
Moroń, M. (2015). Mate preferences toward agency and communion . Letters on Evolutionary Behavioral Science, 6 (1), 1-4, doi: 10.5178/lebs.2015.32
配偶相手の選択にあたり、communion (愛情とか) とagecy (知性とか資源とか) の重要性を尋ねた結果、予測と反して、agencyのほうに高い選好が示された。また、男性よりも女性の方がcommunion、agency両方の特性を重要だと認識していた。
女性は相手の提供する金額が重要なのか、それとも意図が重要なのか、を調べた研究。長期的な関係の場合には「持っている資産の何%を家族に配分してもらえるか」が重要になるが、短期的な関係の場合にはもらえる額自体が重要になる。
Tamura, K., Morita, R., & Ihara, Y. (2011). Evolution of egalitarian punishment . Letters on Evolutionary Behavioral Science, 2 (2) , 20-23, doi: doi.org/10.5178/lebs.2011.14
シミュレーション研究。公共財ゲームのモデルでは平等主義的処罰 (儲けている人を罰するタイプの罰) は古典的罰と同じくらい協力を促進した。また、囚人のジレンマゲームを使ったモデルでは、協力の利益が高いほど協力者は増えたが、どのような状況でも罰を行使する者は少数にとどまったが、協力による利益が非常に少ない状況のみで利他的な加罰者が半数程度まで増える現象が観察された。
男性戦士仮説 (Yuki & Yokota, 2009) の概念的追試。追試には失敗し、外集団脅威のプライミングの効果は得られなかった。
場面想定法実験で、男性は相手の女性が魅力的なほうがより協力するが、女性はそれほど魅力度によって差をつけないという結果が得られた。
PDゲームの利得行列の金額を複雑にすると、協力者は相手プレイヤーの利得をよりよく見るようになる (社会的ヒューリスティックスモードにならないので) という話。正直理屈がよくわからなかったので今度教えてもらいたい。
Nakagawa, T., Nakao, H., Tamura, K., Matsumoto, N., & Matsugi, T. (2017). Violence and warfare in prehistoric Japan . Letters on Evolutionary Behavioral Science, 8 (1) . 8-11. doi: 10.5178/lebs.2017.55
日本の考古学データから、弥生時代の方が縄文時代よりも暴力による死亡率が高いことが分かった。これはBowlesのparochial altruism modelではなく、subsistence modelを支持するものである。
クラウドソーシングを使った実験3件。直接互恵で親切にしてくれた人にはその人が第三者に対して不親切にしていたという評判情報があっても親切を返す傾向にあるというパタンが繰り返し示された。
後期は日本語でも英語でもいいと伝えたら、先週から2週続いて2名のうち1名が英語論文を発表している。
プライドと社会的地位が暗黙に関連している (高い地位の人はプライドが高い、という暗黙裡の関連) ことについてIATを使って日本人参加者で確認した実験研究 (実験は4つ)。Shariff & Tracy (2009) の追試。Nが少ないが、オリジナルの研究を見るとこそもそも効果量はとても大きい。
民族誌データから、戦争の頻度は男性の少なさと正の相関をしたが、レイプや妻の殴打の頻度と戦争の頻度とは相関しなかった。つまり、暴力文化仮説は支持されなかった。
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