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シラバスとは何か

シラバスとは何か ― 大学のシラバス主義には何が欠けていたのか 2009年02月02日 (芦田宏直)

大学のシラバスの優劣を判断することは簡単なこと。文字数が科目担当者によってバラバラな大学シラバスは、ほとんど儀礼的なシラバスにすぎない。各教員が勝手に書きまくっているだけである。
カリキュラムは、一つの教育目標に向かって、科目間の横連携+縦連携、つまり科目ヒエラルキーが厳密に組み立てられている場合にのみ存在する。
その場合には、シラバスは学生サービスでも、自己確認書でもなく、他の科目との接点を求めて科目のinput (受講前提) とoutput (学生仕上がり) とを明確に記したものになる。

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授業評価を阻む声

廣岡秀一先生 (故人) のブログから。残念ながら先生が亡くなられた後も大学教員の意識はなかなか変わりません。

授業評価を阻む声

そんなに学生が信用できないのか? そんなに学生が信用できないほど、あなたたちには会話がないのか?

もちろん、学生の一部には信用するに値しない学生もいるかも知れない。しかし、その一部の学生を例に挙げて、自分の授業に対する多くの学生の意見を聞こうとしないその姿勢は、やはり、自己過剰防衛的姿勢としか言えないように思う。

多くの高等教育研究が示しているように、学生による授業評価は、その妥当性に関して満足できる水準にあるのだ。問題は、評価をするかしないかではなく、その評価を使って学生との会話を増やし、自分の授業をよりよいものにしていくためはどうしたらいいのかについて考えるチャンスを、如何に現実化していくかについて議論することなのだ。そういう意味では、学生による授業評価は、そのごく一部のデータにしか過ぎない。

多くの大学人に言いたい。大学教育や授業というものに対して、己の信念が大事であることは言うまでもないが、自己の授業を相対化して見る努力も必要ではないかと。さらに、時には高等教育研究誌でも読んでみるべきである。今の高等教育における問題が、決してお上からの押しつけで進められているわけはないことがわかるはずだ。

授業評価アンケートの分析 (学生はテキトーか?)

2009年度前期の社会心理学の授業アンケートデータを軽く分析してみた。履修者数は102人、回答者数は77人で回答率75.5%。うち、4名は期末試験の得点との対応がとれなかったので、除外 (記名式なので、期末試験の得点と対応を取ることができる)。従って、分析対象データはN=73。

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学生はテキトーに回答するので授業評価アンケートは信用できない、は本当か

今年度は「授業アンケート検討作業部会」というところに入って授業アンケートの改善をさせられた (させていただいた)。そこで議論された内容は答申としてまとめられ、全学のFD委員会で検討され、修正されたものが教授会に出てきた。大学教員はこういった「自分が評価される」類のものを生理的に忌避するものだ。評価することには慣れていても、評価されることには我慢ができないひとが多い。

そこでよく出てくるのが、この「学生はテキトーに回答するので,授業評価アンケートは信用できない」という意見だ。それにしても、教職免許も持っていなくて (たまに気まぐれで取得しているひとがいる)、教育に関するトレーニングをちゃんと受けていない大学教員自身からこういった発言が出てくることに驚く。学生に対する自分たちの評価はどの程度まともなものなのか。自己評価もできない者が学生の評価をしているのだ。大学というのは恐ろしい。

本学のアンケート用紙は左が最も評価の高い点数になっている。学生は面倒くさいから、質問文の最も近くにある一番左側 (つまり最も評価の高い部分) に○印を付ける、だから信頼できない、という批判がある。そういう学生が一部いることは確かだが、もしそれが正しいのであれば、5点満点で評価点が4点とか3点の先生というのは「よほどひどい授業をしている」ということになる。猛省する必要がある。そもそも定量化するというのは、そうしたエラーを想定した上で分析することなのだから、そんなケチは本来ケチにもならないはずだ。もし、左側に○印を付ける学生ばかりだというのであれば、逆転項目を設ければよいだけの話で、こういうケチは授業アンケートに関する意見としてはこれっぽっちも生産性がない。あるいは、あとでそうしたデータを除外することもできるのだから、「学生はみんな左端に付けるから云々」なんていう意見は「自分は調査に関して素人です」とみんなの前で告白しているようなものだ。実際、M先生の分析では、左端の選択肢をひたすら選んでいる学生を外しても結果は変わらない。

「進化と人間行動2009」の感想 (12 Jan, 2009)

学生から提出してもらった「出席カード」(大きい方) に書かれていた感想・質問・苦情から。去年からこの試みをしているが、だいたい「3行以上書くように」と指示すると、3行きっかりしか書いていないものはたいてい内容が薄い。いかにも義務感で書いている感じのものがほとんどだ。なので、フィードバックを書くときには「3行きっかりしか書いていないものは斜め読み」という戦略が使える。だいたいおもしろいものが書いていたり、アツく反論してある読み応えのあるものは4行以上だ。

最近、ある学生が、別の先生 (専攻も違う) の授業について、「あの先生の授業では反論を書くと単位を落とす。試験はちゃんとできたのに」と言っていた。本当にそういうことがあるのかはちょっと分からないが、こんなことがあったら大問題なのだから、もっと大きな声であちこちに文句を言ったらいいのに。彼女は同時に「心理の先生はどちらかというとおもしろい反論に対してかえって評価が高い」とも言っていた。確かにその通りで、「おもしろかった。先生の言うとおりだと思う」なんて書かれても何にもおもしろくない。かといってほとんど内容を理解しておらず、誤解してアツく反論されるとため息が出る。内容を理解した上での反論は読み応えがあるし、そういうのは歓迎だ。反論するためにはかなり勉強をしていないといけないので、そういう意味でも、「反論したら落とす」ようなだめ教員に懲りず (そういうひとがいるとしたら、だけど)、ちゃんと批判的にものごとを考えるようになってほしい。そういえば僕は大学生の頃、あえてファシズムを擁護する西洋史のレポートを書いて (もちろん、思想的にはファシズムなんて大嫌いだが、当時は血気盛んだったので、おもしろそうだったので、あえてそうしてみた)、Cにされたことがあるのを思い出した。落とされなかっただけマシだが、多分この先生は僕のことを危険分子だと思ったことだろう。

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「進化と人間行動2009」試験予告

試験内容は以下のとおり。

  • 選択問題 50点
  • 記述問題 40点
  • 論述問題 (「この授業でもっとも興味を持った現象を一つ挙げ、それについてのあなたの意見を述べなさい」) 10点

選択問題/記述問題には以下キーワードに関連する問題が出題されるので、最低限これらのキーワードについて勉強してくること。

  • 至近要因/究極要因
  • 進化的適応環境
  • クーリッジ効果
  • ベイカーとベリスの研究
  • 性間淘汰/性内淘汰
  • エクマンの研究

※試験範囲は第5章まで。第5章はほとんど出ないと授業で言ってしまったような気もするが、第5章からも少し出る。

「進化と人間行動2009」の感想 (5 Jan, 2009)

学生から提出してもらった「出席カード」(大きい方) に書かれていた感想・質問・苦情から。この日は風邪をひいていて、しゃべりのペースがつかみにくく、早口になってしまったかもしれない。声も聞き取りにくかったようだ。授業アンケートの大事な日だったのに! しかも、内容が難しかったという感想も結構あった。次回は授業の最初にしっかり前週の復習をしなければ。

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