「社会心理学2010」の感想 (20 Apr, 2010)

学生から提出してもらった「出席カード」(大きい方) に書かれていた感想・質問・苦情から。「学際」って言葉は結構学生さん知らないのね……。一応説明しておいたけど、こうやって「知ってるでしょ」という観点で授業をやると実は学生に全然伝わっていないとか、そういうことがありそうだなあ、と反省。まあ、学生としては、分からない言葉があったらすぐに調べる、ってのが正しい態度なんだろうけど、それを期待するのは難しいかもしれない。

日常生活で、有り得る出来事や皆が知りたい内容ばかりで、社会心理学って面白いのかな、と思いました。

それは社会心理学にとって福音でもあるけど、災難でもあるんだよ。みんなが興味をもってくれるのはいいけど、社会心理学自体が非常に軟派な学問に成り下がってしまっているという問題がある。理論的におもしろい研究をしている社会心理学者ってのは本当に少ない。社会心理学会に行くと、みんな大学生の恋愛とか友人関係とか、そういう研究ばっかりしている。大学生心理学会とかにしたほうがいいんじゃないかと思うくらい。日本の大学生の生態ばかりを調べることにいったいどんな理論的な重要性があるのだろう、と嘆息することも多い。

自分が差別されている場合、自分は嫌な気持ちになるし、それがもし他人の場合であっても同じである。その気持ちを人々が共有する気持ちを持つことができるなら人は差別しなくなる。

それはナイーヴな考え方。授業で紹介した統計的差別の話は、誰も差別する心を持っていなくても差別が生まれることを示した一つの例。差別は差別する心から生じる、と思っているとみんなが思っている限り、差別はなくならない。差別の解消には社会構造の変革が必要だからだ。差別する心を根絶することは無理だし、それをなくしたところで差別的な現象がなくなるわけではない。

いつまでも、相手に恋をしている訳ではないと言われましたが (私もそう思いますが)、それでも相手と一緒に居る人は相手をどう思っているのでしょうか?

それが諦観の境地。

学際的な学問というのは異なる研究領域の相互作用と解釈しても良いのでしょうか。

本来はそうなっているべき。実際は「学際」を掲げたプロジェクトの多くは単なる寄せ集めになってしまっているけれど。

今日のお話は全体的に小難しい話で早速不快に感じたが、単位を取るためだと思い直すと快く授業を受けることができた。

この感想を読んで早速不快になった僕は多分修行が足りないんだろうな……。滝に打たれてきます。

(人間の社会性を調べずに) 実験参加者を個室に閉じ込める研究をするのはやっぱり複雑な要因までどうこうするのが面倒なんですかね?

基礎心理学が伝統の修大心理で「社会性のことを考えないで個人を対象とした実験ばかりやっていてもしょうがない」なんて言うと多くの先生を敵に回すことになるのだが、社会的な刺激については要因の統制をするのが難しいというのは確か。僕も実験自体は個室に閉じ込めたりするが、研究の背景には必ず人間の社会性がある。逆に社会心理学の研究は要因統制がいい加減で、実験として質が高いとは言えないものも多いので、まあ、お互い様ってところもある。

「第一印象は正しいのか」という話で、入試の面接で中西先生に苦笑されたことを思い出しました。今は印象変わったので、私の第一印象は間違っていた、ということですね。

僕はよく苦笑するのだけど、そのときは何に苦笑したんだろう。なんか失礼なことしちゃってたかな……。

(一貫性の問題について、もし相手に自分の行動を合わせるのだとしたら) 個人主義が強いと言われる欧米でも同じような傾向が日本と同じ程度見られるのでしょうか。

重要なポイント。一貫性に関する研究はむしろアメリカで始められたが、相手に合わせる場合、そういう相手との付き合いをやめる場合、両方がある。アジアと欧米で異なるパタンが得られるかどうかについては勉強不足で知らない。興味があったら文献を探してみましょう。で、分かったら教えてください。

(オタク差別について) 二次元が好きで何が悪い!! 美少女画が好きで何が悪いっ!!

そんなに熱くなるなよ。美少女画だとルノワールがいいね。ふつうに萌えるよ。

余談ですが、先日「ライヤーゲーム」というドラマをみていて、「囚人のジレンマ」がでてきました。集団力学の内容ではありますが、講義を受けていて良かったなと思いました。

授業内容をちゃんと覚えてくれていて、とてもうれしい。

Moodleのアンケートをしようと思いプロファイル作成までしたのですが、アンケートがなぜか開けなくて残念でした。

あれ、土曜日の16時45分まではオープンしているのでできるはずなのだけど……。もしできなかったらメイルください。調べます。

なんで社会心理学者は減ってしまったのだろう。

え、増えてるよ?

判官びいきはなぜ起こるのでしょうか。

勝っているものに乗っかるのが「バンドワゴン効果」、負けている者を応援するのが「アンダードック効果」。これらの用語で検索してみましょう。

最初はどのような事が教えられるのかドキドキしていた。

残念ながらエッチな話はしない。

(恋愛について) 授業ではやらないんですか?

気が進まないけど、やる予定。乞うご期待。