「心理学概論I 2010」の感想 (6 May, 2010)

学生から提出してもらった「出席カード」(大きい方) に書かれていた感想・質問・苦情から。ちょっと遅くなったが、前回までのスライドはMoodleで公開済み。なお、「出席カード」に3行以上書いていないものは、提出したとは見なしません。

「三つ子の魂は百まで」という言葉がありますが、3歳までは環境による影響を受けやすい、ということを示していたりするのでしょうか。

乳児の時点でかなりのことが実は「分かっている」ということが分かってきているので、そうとも言えない。二卵性双生児を見れば分かりやすい。同じ環境で育っているにも関わらず、随分違うでしょう?

ヒト以外の生物で、男女の性役割が、文化によって決まる生物はいるのでしょうか?

真の意味での文化を持つのはヒトだけ。なので、「ない」。

私は女なので、マーガレット・ミードの研究結果を見て、少しうれしかった。なので、ミードの研究の証拠なしとされ、性役割は遺伝的に存在していると聞いたときは若干ショックだった。

なんでだろう? オスのように狩りに行ったりしたいから?

(ミードの調査) もう一度調査をすることはできないのでしょうか。

フリーマンの再調査の結果、根拠がないと認められたということ。だから既に再調査はされているし、同時代の他の研究者の調査結果とも一貫してないので、ミードの調査結果は信頼できない、ということになっている。

先生髪切りましたよね!

気づいてくれてありがとう。月に一度は行かないとだめだね。

イースター島に、昔、人が済んでいたというのを初めて知りました。

……今も住んでるよ。

昔の話を聞くと、自分たちが必要なものだけ使用したり、食べたりしてとても動物的に思える。しかし、今の生活は自分たちの欲望のまま、文化に流されて大きく進化している。そう考えると私は環境の影響が大きいと考える。

「進化」の意味を間違えている。「動物的」というのはどういうことだろう。社会がどれだけ変化しようと、進化のタイムスパンを考えると些細なこと。

(現代の日本が安定している、という主張に対して) 就職できても決して安定とは言えないのが現在の日本社会なのではないか

そんなのたいした不確実性じゃない。例えば 、国内で戦争している? 将来餓死する確率はどのくらいだと思う? 日本に生まれた乳幼児はどのくらい栄養失調になる? 「終身雇用が崩壊した」とかその程度の不確実性は全然たいしたことじゃない。

実験前にたてた仮説を思い込んでしまう、という用な弊害はないのですか?

ある。「実験者効果」と呼ばれているもの。それを回避するための工夫もいくつかある。

うる覚え

う「ろ」覚えね。

Moodleは実名がのったりとか、いろいろ使うのに抵抗があります。

なるほど。実名が載るところで意見を言うのは抵抗がある? 授業内で手を挙げて質問する場合と比べたらどうだろう? もっとここらへんの意見を知りたい。

ジェンダーを研究することで人間の文化的な本質にはせまれないでしょうか。

それは何とも言えない。研究の仕方によるだろう。気をつけないといけないのは、ジェンダー研究を政治の話にするべきではない、ということ。

一般に男性がかせいで女性が家事をする傾向があるのは、収入が関係しているような気がします。

でも、今の日本では同一労働には同一賃金が与えられるようになっているよ? なぜ、そもそも女性の収入が少ないのか、ということを考えてみよう。それは女性の労働時間が少ない (あるいは出世させてもらえない) という要因があるから。では、なぜそういうことになっているのだろう?

一夫多妻も文化によるものではないのですか?

ヒトの婚姻形態は基本的に一夫一妻と一夫多妻の間。それは進化的に予測できる (乱婚や一妻多夫は非常にまれ)。

ミードの行った研究はどこまで信頼できるのでしょうか?

少なくとも、「文化がすべてを決める」根拠としては全く信頼できないデータ。

90年代の日本の殺人率が下がったのは理性ゆえではないのか。

では、なぜその「理性」は変化したのだろう?