2009年度前期の社会心理学の授業アンケートデータを軽く分析してみた。履修者数は102人、回答者数は77人で回答率75.5%。うち、4名は期末試験の得点との対応がとれなかったので、除外 (記名式なので、期末試験の得点と対応を取ることができる)。従って、分析対象データはN=73。
学生はテキトーに回答するので授業評価アンケートは信用できない、は本当か
今年度は「授業アンケート検討作業部会」というところに入って授業アンケートの改善をさせられた (させていただいた)。そこで議論された内容は答申としてまとめられ、全学のFD委員会で検討され、修正されたものが教授会に出てきた。大学教員はこういった「自分が評価される」類のものを生理的に忌避するものだ。評価することには慣れていても、評価されることには我慢ができないひとが多い。
そこでよく出てくるのが、この「学生はテキトーに回答するので,授業評価アンケートは信用できない」という意見だ。それにしても、教職免許も持っていなくて (たまに気まぐれで取得しているひとがいる)、教育に関するトレーニングをちゃんと受けていない大学教員自身からこういった発言が出てくることに驚く。学生に対する自分たちの評価はどの程度まともなものなのか。自己評価もできない者が学生の評価をしているのだ。大学というのは恐ろしい。
本学のアンケート用紙は左が最も評価の高い点数になっている。学生は面倒くさいから、質問文の最も近くにある一番左側 (つまり最も評価の高い部分) に○印を付ける、だから信頼できない、という批判がある。そういう学生が一部いることは確かだが、もしそれが正しいのであれば、5点満点で評価点が4点とか3点の先生というのは「よほどひどい授業をしている」ということになる。猛省する必要がある。そもそも定量化するというのは、そうしたエラーを想定した上で分析することなのだから、そんなケチは本来ケチにもならないはずだ。もし、左側に○印を付ける学生ばかりだというのであれば、逆転項目を設ければよいだけの話で、こういうケチは授業アンケートに関する意見としてはこれっぽっちも生産性がない。あるいは、あとでそうしたデータを除外することもできるのだから、「学生はみんな左端に付けるから云々」なんていう意見は「自分は調査に関して素人です」とみんなの前で告白しているようなものだ。実際、M先生の分析では、左端の選択肢をひたすら選んでいる学生を外しても結果は変わらない。
「進化と人間行動2009」の感想 (12 Jan, 2009)
学生から提出してもらった「出席カード」(大きい方) に書かれていた感想・質問・苦情から。去年からこの試みをしているが、だいたい「3行以上書くように」と指示すると、3行きっかりしか書いていないものはたいてい内容が薄い。いかにも義務感で書いている感じのものがほとんどだ。なので、フィードバックを書くときには「3行きっかりしか書いていないものは斜め読み」という戦略が使える。だいたいおもしろいものが書いていたり、アツく反論してある読み応えのあるものは4行以上だ。
最近、ある学生が、別の先生 (専攻も違う) の授業について、「あの先生の授業では反論を書くと単位を落とす。試験はちゃんとできたのに」と言っていた。本当にそういうことがあるのかはちょっと分からないが、こんなことがあったら大問題なのだから、もっと大きな声であちこちに文句を言ったらいいのに。彼女は同時に「心理の先生はどちらかというとおもしろい反論に対してかえって評価が高い」とも言っていた。確かにその通りで、「おもしろかった。先生の言うとおりだと思う」なんて書かれても何にもおもしろくない。かといってほとんど内容を理解しておらず、誤解してアツく反論されるとため息が出る。内容を理解した上での反論は読み応えがあるし、そういうのは歓迎だ。反論するためにはかなり勉強をしていないといけないので、そういう意味でも、「反論したら落とす」ようなだめ教員に懲りず (そういうひとがいるとしたら、だけど)、ちゃんと批判的にものごとを考えるようになってほしい。そういえば僕は大学生の頃、あえてファシズムを擁護する西洋史のレポートを書いて (もちろん、思想的にはファシズムなんて大嫌いだが、当時は血気盛んだったので、おもしろそうだったので、あえてそうしてみた)、Cにされたことがあるのを思い出した。落とされなかっただけマシだが、多分この先生は僕のことを危険分子だと思ったことだろう。
「進化と人間行動2009」試験予告
試験内容は以下のとおり。
- 選択問題 50点
- 記述問題 40点
- 論述問題 (「この授業でもっとも興味を持った現象を一つ挙げ、それについてのあなたの意見を述べなさい」) 10点
選択問題/記述問題には以下キーワードに関連する問題が出題されるので、最低限これらのキーワードについて勉強してくること。
- 至近要因/究極要因
- 進化的適応環境
- クーリッジ効果
- ベイカーとベリスの研究
- 性間淘汰/性内淘汰
- エクマンの研究
※試験範囲は第5章まで。第5章はほとんど出ないと授業で言ってしまったような気もするが、第5章からも少し出る。
「進化と人間行動2009」の感想 (5 Jan, 2009)
学生から提出してもらった「出席カード」(大きい方) に書かれていた感想・質問・苦情から。この日は風邪をひいていて、しゃべりのペースがつかみにくく、早口になってしまったかもしれない。声も聞き取りにくかったようだ。授業アンケートの大事な日だったのに! しかも、内容が難しかったという感想も結構あった。次回は授業の最初にしっかり前週の復習をしなければ。
「進化と人間行動2009」の感想 (22 Dec, 2009)
学生から提出してもらった「出席カード」(大きい方) に書かれていた感想・質問・苦情から。なんとか年内に読み終えた……。
「進化と人間行動2009」の感想 (15 Dec, 2009)
学生から提出してもらった「出席カード」(大きい方) に書かれていた感想・質問・苦情から。
「進化と人間行動2009」の感想 (8 Dec, 2009)
学生から提出してもらった「出席カード」(大きい方) に書かれていた感想・質問・苦情から。この日は真珠湾攻撃の日でもあり、ジョン・レノンの命日でもある。更新が1週間ほど遅れてしまった。申し訳ない。
「進化と人間行動2009」の感想
うっかり先々週の分を書くのを忘れていた。明日が授業なので、先週の分を書かなきゃと思って、12月8日の分さえまだできていないのに気づいてしまった。PDFも最新のものがちゃんとアップロードできていないと思う。今日はこれからゼミ生と忘年会なので、帰ってきて元気だったらやります……。
イーラン
E-Learningの略称は「イーラン」ではないと思う。「淫乱」みたいでなんかいやだ。学生はよく「先生! イーランにログインできません!」とか言ってくるのだが、先日、某教務課で某教務部長が「あのイーランについてですが」と話しているのを聴いてしまった。