今年度は「授業アンケート検討作業部会」というところに入って授業アンケートの改善をさせられた (させていただいた)。そこで議論された内容は答申としてまとめられ、全学のFD委員会で検討され、修正されたものが教授会に出てきた。大学教員はこういった「自分が評価される」類のものを生理的に忌避するものだ。評価することには慣れていても、評価されることには我慢ができないひとが多い。
そこでよく出てくるのが、この「学生はテキトーに回答するので,授業評価アンケートは信用できない」という意見だ。それにしても、教職免許も持っていなくて (たまに気まぐれで取得しているひとがいる)、教育に関するトレーニングをちゃんと受けていない大学教員自身からこういった発言が出てくることに驚く。学生に対する自分たちの評価はどの程度まともなものなのか。自己評価もできない者が学生の評価をしているのだ。大学というのは恐ろしい。
本学のアンケート用紙は左が最も評価の高い点数になっている。学生は面倒くさいから、質問文の最も近くにある一番左側 (つまり最も評価の高い部分) に○印を付ける、だから信頼できない、という批判がある。そういう学生が一部いることは確かだが、もしそれが正しいのであれば、5点満点で評価点が4点とか3点の先生というのは「よほどひどい授業をしている」ということになる。猛省する必要がある。そもそも定量化するというのは、そうしたエラーを想定した上で分析することなのだから、そんなケチは本来ケチにもならないはずだ。もし、左側に○印を付ける学生ばかりだというのであれば、逆転項目を設ければよいだけの話で、こういうケチは授業アンケートに関する意見としてはこれっぽっちも生産性がない。あるいは、あとでそうしたデータを除外することもできるのだから、「学生はみんな左端に付けるから云々」なんていう意見は「自分は調査に関して素人です」とみんなの前で告白しているようなものだ。実際、M先生の分析では、左端の選択肢をひたすら選んでいる学生を外しても結果は変わらない。