「心理学概論」の感想 (16 Apr, 2024)

履修者確定で109名。心理学科の学生にUSBメモリを配ったり、そもそも心理学史の内容が濃すぎて教える時間がなかったりして、リアクションペイパーは11名分しか確保できず。

西周が精神哲学を『心理学』と訳したことで日本に心理学というものが広まったと解説されていたが、西周が訳した原本である『精神哲学』と迫害されたどういったものであったのか?

後半部分はタイポだろうか? 西周はpsychologyのことを「性理学」と訳しており、「精神哲学」の方の「心理学」が日本でそのあと広まったということではありません。psychologyがなぜ「心理学」となったかはよく分かっていないということだと思います。

今回出てきた人物の名前はどこまで覚える必要がありますか。重要な理論をつくった人物に加え、弟子の名前まで覚えるべきでしょうか。

誰かの弟子だから重要ではない、ということはありません。そんなことを言ったらほとんどの学者が誰かの弟子なので重要ではないことになってしまいます。強調部分の人名は重要な人物です。だから、最終的には全部覚えてほしいです。が、この後のそれぞれの領域のところでも重要な人物は再登場しますので、その時にまたこの心理学史のところに戻ってきて再度確認すれば覚えやすいと思います。誰が何をしたかを把握することは極めて重要です。これは単なる暗記の問題ではありません。

人名が多くてややこしかったけど、モーガンの犬など逸話的な研究は、とても楽しかったです。哲学と心理学の違いを知りたいです。

心理学は哲学の出来の悪い弟子ということができるかもしれません。あるいは哲学から生まれた学問の中でもっとも早い時期に「行動」の研究を始めた学問ということもできるかもしれません。結局のところ、心理学も哲学の一種なのだと僕は思っています。

心理学徒に際し、哲学 (主に実践哲学?) とどう向き合えば良いのかということが気になる。

素人目には、この2つの学問の違いを上手く説明することが難しいように思う (いや、歴史的には哲学者が心理学的な研究ををやっていたということだから、そう簡単ではないかも。知り合いの心理学の先生にも、実は哲学的関心の方が強いという者もいた)。混同するのは、2つが同じように人間についての (一般的な意味での) 行動を扱うことがあるからかもしれない。また、心理学が受け継ぐ思想 (メタな理論?) の多くは哲学が関係することも、個人的には紛らわしいと思う。

行動というところだけを見ることで哲学上の様々な問題を諦めてしまったのが心理学と言えるかもしれません。その代わり、心理学は誰でもできる (古典を知らなくてもできる) 実証科学として発展することができました。科学というのは手順さえ知れば馬鹿にでもできる学問と言えるのだと思いますが、心理学もそうすることによって裾野を広げてきたのでしょう。