新型コロナウィルスにやられたため、今回もオンデマンド。ごく軽症で風邪と変わらないが、家から出てはいけない、という状況。
コロナ騒動以来、大学での授業がオンラインで行われることはごくふつうになったので、こういうときに休講にしなくてもよいのは担当者にとっても学生にとっても助かる。とはいえ、うちの大学はこういうときでも無条件でオンデマンド対応ができるわけではなく、きちんと学生に通知ができる手段があり、補講ではなくオンデマンドで行わなければいけない特別の事情がある場合に限られる。教学センター長の許可がいるのだ。今回は試験期間までに多くの学生が出席できる日程で補講を行うのが困難であるというのがオンデマンド授業で済ませる理由。
しかし、提出されたリアクションぺイパーがまだたいへん少ない。もう金曜なので、今の段階で届いたものについて、質問への回答をしておきます。来週の授業までにはみなさん提出しておいてください。
私もマズローの欲求階層説について科学的根拠があるんかなって思っていました。そもそもなんで自己実現欲求や承認欲求があるのか、種の繁栄などにどういうメリットがあるのかと、そもそもの話をなされている研究を今のところ見たことがないので知りたいなぁって思ってます。先生はどう考えていらっしゃいますか?
「種の繁栄」といった概念で人間行動を説明することの問題点については、第4学期の「進化心理学」で取り扱うので、もし都合がつけば履修してください。マズローの欲求階層説の進化版については、ダグラス・ケンリックの『野蛮な進化心理学』を読むといいでしょう (参考: https://davitrice.hatenadiary.jp/entry/2021/01/14/102554)。
普段、身近に溢れる心理テストは今日の授業で挙げられたものとどう違うのか気になりました
「身近に溢れる心理テスト」には基本的には何の科学的根拠もない、という点が違います。
臨床心理学専攻の学者が少ない事は分かりましたが、何故少ないのでしょうか?
少ないか、と言われるとわりと多いのだとは思います。少なくとも社会心理学者よりは多い。この質問が「なぜみんな臨床心理学者にならないのか?」という問いだとすれば、それは心理学の範囲が広大だから、というお答えになるでしょうか。
抑圧は大切なときや逆にいらないときもあるが、抑圧のせいで精神がダメージを受けることはとても分かるのであまり抑圧しすぎないようにしたい。
重要なのは、抑圧は意識的におこなうものではないので、「抑圧しすぎないようにしよう」と思ってもあまり意味がないという点です。もしそれができるなら、精神分析の出番はないわけです。