「心理学」の感想 (7, June 2022)

折り返し地点で、今回は社会心理学。今回は専門領域のためにしゃべりすぎて、またリアクションペイパーを書く時間を確保できず、コメントが少ない。後で書いて、と言うとやはり少なくなってしまうのはやむなしか。

品薄になるかもしれないことを、わざわざマスコミがあげるから馬鹿な市民が信じて品薄になるというひどい構成になるならマスコミは無駄な記事を書かない方がいい。

「馬鹿な市民」といいますが、人というのはそういうものです。そういうダメなところも含めて人間なので、「一部の馬鹿」のせいだとは思わないほうがいいと思います。「そういうもの」であることにも意味があるというのが近年の進化心理学の成果です。マスコミに対する情報提供は研究者の側からしっかりしていく必要はあるでしょう。つまり、馬鹿にするだけで終わらないのが心理学的な発想です。

大学生の実験では女子大学生を対象とした実験で進めているが、男子大学生だとどのような結果になるのでしょうか。

講義資料ではトイレットペーパーの買い占め騒動が取り上げられていましたが、コロナ禍によりマスクやアルコール消毒液が一時期不足していました。日本人による買わないと不安になる、買い占めておかないとなくなるかもしれないという考えは日本人ならではの特性なのでしょうか。また、マスコミはこのような報道をするのにはどのような背景があるのでしょうか。先生はどのようにお考えでしょうか。

授業で紹介した実験は女子大学生を対象にしたものでしたが、それ以外の実験参加者を対象とした実験でも同様の毛かが得られています。また、買い占めは日本人特有の現象ではありません。世界中で起きていました。

今回取り上げられた社会的現実の例として、ネガティブな事例が示されていたのですが、例えば人々がポジティブな誤解 (例 この神社にお願いをすれば、本当に何事もうまくいくのだ) からポジティブな方向に事態が転ぶ事例も、社会的現実として良いのでしょうか?

もちろんそういう現象もあります。例えばピグマリオン効果などはどうでしょう。教師が期待することによって生徒の成績が伸びるという現象です。これについての議論は http://riseki.php.xdomain.jp/index.php?認知的断想%2Fピグマリオン効果を期待できるか ここらへんが参考になります。

授業の後半らへんの話であった、女は結婚したら仕事を辞めてしまうためその人物に教える労働力が無駄であるという内容が1番納得いきませんでした。利益にならないため辞めない男には仕事を与え、女にはお茶出しをさせるという考え方は理解できなかった。

これはいいコメント。「納得いきません」というのはどういう意味で納得ができないのでしょうか。「そういうことを考えるのがけしからん」ということでしょうか。会社は慈善事業ではないので、利益にならないことはしません。差別的構造が利益によって支えられている現状が問題であるなら、その構造を変える必要があります。気持ちは構造によって変わります。気持ちを変えて構造を改善しようとする試みはうまくいきません。

電流を流す実験は可哀想だと思った。

話を聞いてないからそんなことを書いちゃうんだ! なお、この授業は話を聞いていなくてもフルテキストの教材を配っているので、それを読んでもらうとよいと思う。

人間は独りでは何も出来ないが、一人が何かを起こすと右ならえしてしまう弱い存在なのかなと感じた。

人は右ならえしちゃうことによってこれだけ大規模な社会を維持することができるようになったんです。右ならえしてしまうのは悪い側面だけではない、ということも覚えておいてください。

また、差別や偏見は社会構造が引き起こすものだと知り、少し驚きました。

そこが最も重要なところなので、それさえ分かってもらえたら大丈夫です。