第5回「性と進化 (1)」と第6回「性と進化 (2)」のリアクションペイパーへのフィードバック。前期の「心理学」のときにはオンデマンドだからみんな結構濃いことを書いてくるのだろうなと思っていたが、対面のこの授業でも学生のみなさんのリアクションペイパーの質が高くなった。これは教材を豊富に用意している効果なのかもしれない。
先生の話を聞いて、ダーウィンの博物館に一度行ってみたいと思いました。ガンゲスタッド、アルスランらの論争が現在も続いていることを面白く感じた。
ダウンハウスは数年前、一度ロンドンでレンタカーを借りて行ったのですが、カーナビを付けなかったせいでロンドン市内からなかなか出られずひどい目に遭いました。今はiPhoneが使えれば大丈夫。去年の冬に汽車とバスで行ってみたが、これもそれほど難易度は高くなかったです。ぜひ。
進化論で矛盾するところはありますか。
それはちょっとあまりに大きな話ですが、相互に矛盾するデータは研究の世界では見つかることがよくあります。その場合、どうしてそうした矛盾した結果が得られたのかを研究することでさらに新しい知見が得られます。そうやって研究は進んでいくものです。
感想です。146行目の釣合仮説で,実際のカップルの成立はもっと複雑なものだと書かれていました。ですが,テレビ番組の団体でのお見合いでは,最初の投票 (誰が気になっているのかを投票する) をすると,魅力的な人に集中し,最終結果においても,魅力的な人同士が成立することが多いため,この仮説がよく理解できるなと個人的に思いました (ただ,テレビ番組なのでどこまで本当なのかはわかりませんが…)。
お見合い番組などはまさにマッチング仮説が支持されやすいような状況であるとも言えますね。実際にはあのような形でカップルが成立することはありませんが。
男性の飽きっぽさや顔で人を選んでしまうことは、進化していくことによって変わることはないんでしょうか。
基本的に男女の構造が変わらない以上、変化しにくいと思います。
すいません、今日の1限はカードリーダーをタッチしたのですが、2限目にするのを忘れてて後で思い出しました。すいません。出席率は関係ないと今日言われていたので大丈夫だと思うんですが、宜かお願いします。
全く問題ありませんので、気にしないでください。
ウエスト – ヒップ比は、何となく感覚的にわかる気がするのですが、仮説の理論を証明したいなら、ウエスト比は0.7~1.0ではなく0.7よりも小さい値が必要な気がするのですが。でないと普通に体のバランスや痩せて見えると言う要因などが混ざる気がします。
確かに、僕もオリジナルの実験でなぜ0.7より小さい値がないのか気になっていました。
第6回の12行目、ひとつめの「一夫多妻」は一夫一妻のことでしょうか。
その通りです、どうもありがとう。
2限の最後に出てきた実験が面白いなと思いました。モデルさんなどが細身な人が多いことなども影響しているのかなと思っていたのですが、今回授業を聞いている中で、もちろん好みは人それぞれですが、大半の人が0.7を選んでいる点について、細身の人を好むからモデルさんなどに細身な人が多く憧れを抱く人が多いのか、またその逆なのかどうなんだろうか、と考えていたらシンプルなようで難しく深い問題だなと思いました。
データは細身の人よりも標準体型の方が魅力的とされていましたね。
1. 発生や遺伝,繁殖というキーワードを中心に社会の様々な現象を説明していると思いますが (科目名も進化心理学なので当然なことでありますが)LGBTQは進化心理学の観点からするとどのように解釈できるのか気になりました。もちろんLGBTQは少数ではありますが,クジャクの羽についても悩む進化心理学であれば,LGBTQに関する悩みもあるのではないかと思いました。
進化はあらゆる現象を説明するわけではありません。何事にも例外はあります。例えば生まれつき病気を持って生まれてくる人がいますが、これはなぜか、という問題も簡単には解決できない問題です。進化は全ての人が同じ傾向を持つようになる過程ではない、ということに注意が必要です。こうした多様性も進化の一部です。
2. また,他の国では卒婚 (子どもたちを大人として自立させた夫婦が離婚せずに別居しそれぞれの人生を楽しむこと)という概念が最近できたみたいですが,これは配偶システムの進化として理解しても良いでしょうか。
これは進化というより文化の問題と思います。
3. そして,女性は妊娠期間が長いため責任感を持って一緒に子育てができる男性を好むという話があったと思いますが,女性ホルモンが比較的に高い男性は実際女性に好かれているんですかね (あくまでも,女性ホルモンが比較的に高い男性が母性というか…子どもに対する関心が高いのではないかといった仮説をもとにお伺いします)。
むしろモテるのは男性ホルモンの働きによっていわゆる「男らしい」形質を持つ人ではないかと思います。子どもへの関心というより、資源を持ってくる能力と意図が重要になります。
4. また,繁殖といった視点ではなく,衛生という視点から解釈もできるのではないでしょうか。沢山の人と性行為をした場合,その人の体にある菌やウイルスが伝わる可能性も高くなると思います。それを女性は避けようとするのではないでしょうか。10ヶ月間体の中で子どもを育てる女性としては,本能的にそれを感知するのではないかと思いました。ある意味,男性も自分の子どもを産む女性ができるだけ健康に自分の子どもを産んでほしいからこそ貞節を重視するのではないでしょうか。
むしろ多数の人と性行為をできる男性というのは高い能力を持つ相手である可能性が高いと思われます。病気への感染のしやすさについてはどのくらいリスクが増えるのか分かりませんが、そういう研究は行動免疫仮説というものがあってその領域で研究されています。
女性が69人子供産んだ話を聞いて、それぞれ違う人との子供を産んだと思うんですけど、69人同じ人との子供を産んだ場合、それぞれちょっとづつ違うようになるんでしょうか? 兄弟の中で長男末っ子はめっちゃ似ているという現象が起きるのでしょうか?
いや、全部同じ人との子どもなんですよ。出生順位が何かに関係あるというデータはほとんどないですね。
女性が化粧をする究極要因は子孫を残すためだと理解しましたが、最近では、男性も化粧をする人が増えていますが、男性が化粧をする場合の究極要因は子孫を残すためなのですか?
それは文化の問題なので、進化的な観点から説明するのは無理があると思います。
精子置換仮説の内容もどこかで聞いた気がするが、人間の性器に実際にそんな機能があるのかと思ってしまうし、チンパンジーにその機能が備わってないのも何故かと思った。
僕もこの仮説でどの程度現象を説明することができるのかは謎です。ただ、じゃあヒトのペニスの形状を説明すればいいのか、と言われると困ってしまいますが。
性淘汰のところで女性はより良い夫を探すがそれとともにより良い遺伝子を持つ雄を探すとあり、なかなかに難しい議題だと感じた。両方を兼ねそろえた雄であるなら話は早いが、実際のところはそうではなく、葛藤になると知った。そうすると、男性の不倫より、女性の不倫、浮気の方が生物学上では許される行為となるのでしょうか?? また、現代ではマッチングアプリなどと言ったツールで不特定多数の人間と簡単に関係を持つことのできる世の中になっているがこういったツールの影響は生物学上に影響を及ぼすのでしょうか? もし及ぼすとしたらどのような点でしょうか?
「許される」かどうかという問題は倫理の話で、進化とは関係がないものです。いろいろな人と関係を持つことが容易になると何が起こるかは、これから1万年、10万年経ってみないと分からないと思いますが、男女の関係が根本的に変わるほどの質的な変化にはならないのではないかと思います。そもそも現代のように全体的に少子化になると作る子どもの数にばらつきが少なくなりますので、進化スピードは低下するのではないでしょうか。
また第6回目14ページ350行目からの追試の結果で、容姿を重視するかについて性差が見られなかったのは、以前の授業でもあった女性は自分で産んだ子は自分の遺伝子を引き継いでいることを実感できるというところで、子どもは相手と自分の容姿を引き継ぐためある程度相手の容姿も気にするのではないかと思ったのですが関係はあるのでしょうか。
それは関係あるかもしれませんね。でも、そうだとしたら他の国で得られたデータをどう説明するかが悩ましいですね。なぜ日本以外では容姿に関して進化的予測を支持するデータが得られたのだろう?
一夫多妻制が認められている国も存在するが、先進国では単婚が多く見られ、やはり家族が増えることで必要な資金もそれに伴う。しかし、貧困国では兄弟によって1人の妻を共有し、土地の分割を防ぐという策もとられ、やむを得ない制度なのかもしれないと思った。私自身が女性という立場だけに、「共有」というワードは少し違和感を覚えた。
これは一夫多妻の場合には逆に1人の夫を複数の女性で共有しているということになります。
第5回で3歳児神話の話なども出ましたが、97行目からの「父性」「母性」の定義はどういうものですか。自分が父あるいは母であることを実感できるかどうかという点なのでしょうか。「母性神話」の「母性」とは意味が異なるように感じたので気になりました。
いいところに気づきました。97行目の「父性」はせいぜい「本当の父親であること」程度の意味です。確かに「母性神話」の「母性」とは異なる用法ですね。
また、300行目から生理的早産の理由について説明がありましたが、進化の過程で変化した骨盤の大きさや向きも関係していると他の授業でききました。間違いというわけではなく、どちらも関係しているのでしょうか。
もちろん関係します。二足歩行とも関係するでしょうね。いったい何が決定的だったのかというのは難しい問題ですが、さまざまな要因が重なってそうなったのでしょう。
一夫多妻制は望ましいとされているだけで、実際に一夫多妻制である文化圏は少ないということですか? それとも逆で、一夫多妻制の文化圏の人達が一夫一妻制の方が望ましいと答えているということですか?
一夫多妻が許容されている文化の数というのは多いのですが、人口比でいうとそこまで多くのないのでは、とも思います。しかし、一夫一妻制ではあっても離婚は認められていたり、不倫がある程度行われていたりするので、一夫多妻的な要素がないわけではないです。
また、地球に多大なる人数の人間が生きていて、性格や生きてきた環境が異なるにも関わらずお互い好きになって付き合えて結婚して (浮気なく) 幸せに暮らせるのは奇跡なんだなと思いました。
いや、ほんと、それです。