「進化心理学」の感想 (13 Nov, 2020)

初回授業。金曜の1・2限連続。第1回は「進化心理学とは何か」、第2回は「進化および遺伝子の概念」。最初に授業全体の説明やコマシラバス、授業教材の使い方について説明していたら30分くらいかかってしまいかなり早足になってしまいました。反省。しかし、これとて、コマシラバスがなければ誤魔化して省略して「うまくいったことにする」ことが可能であったわけで、それができなくなるコミットメント装置としてコマシラバスはよいものだと思います。進化心理学のコマシラバスは、https://researchmap.jp/multidatabases/multidatabase_contents/detail/231073/9c4a50229fc2a11c7902cb942fd762e3?frame_id=776722 に公開しています。

家に帰宅してから、リアクションペイパーを記入しても大丈夫と言われていましたが、リアクションペーパーの提出期限が授業日の13時までになっていました。私は、通信制限の関係で外であまり携帯を使いたくないので、家に帰ってからリアクションペーパーを記入したいのですが、13時を過ぎてしまっても、リアクションペーパーの成績は変わらないのか教えてほしいです。

変わらないです、気にしないでください。ただ、週末にお返事を書くので、あまり遅いと質問にお答えできないかもしれません。

進化と聞くと対義語で退化が浮かんできたのですが、資料1ページの15行~のように進化に方向はなく退化も進化に含まれるということを知りました。これは心理学特有の考え方なのかなと思いました。

これは「心理学」ではなく、「進化生物学」の考え方ですね。

8ページ以降に遺伝について記載してあったのが難しかったので、再度復習しておかなければいけないと感じました。4年生として最後のテストになりそうなので、しっかり勉強します。

小テストでもし間違えたところがあればそこを中心的に勉強しておいてください。結構な分量なのでたいへんですが、この科目を一通り勉強すると進化心理学の基本は抑えられるはずです。

また専門用語の説明ですので難しいのは当たり前なのですが、読むだけでは理解が追いつかないところがありました。もう一度読み返して理解を深めなければいけないなと思いました。

これは今年0から作り始めた教材なので、まだ表現がこなれていないところがあるかもしれません。みなさんのフィードバックでよりよい教材にしていくつもりですので、説明不足のところがあったらぜひ教えてください。

44行目です。行動の予測と制御が心理学の目的だということは以前から知っていたのですが、制御の英単語が”regulation”ではなく”control”である理由がどうしてなのか気になりました (検索してヒットした,論文などではない情報で知りました)。日本語だと,制御で理解したらよいのだと思います。ですが,制御だと言われると,英語では,”regulation”だと今まで思っていたので,ニュアンス的にどのように異なるのかを知りたいと思いました。

Watson (1913) には確かに予測と制御としてpredictionとcontrolという用語が使われていますね。英語と日本語は一対一対応しているわけではなく、controlにも制御という訳語があります。例えばOxford Dictionary of Englishを引くと、regulationは”a rule or directive made and maintained by an authority”、controlは”the power to influence or direct people’s behaviour or the course of events”とあります。心理学用語でも自己制御 (self regulation) とかセルフ・コントロール (self control) といった似たような概念があります。言いたいことは「よく分かりません」ということです、すみません。

第1回目の内容が書かれているところに,投票するものがあったのですが,回答した方がよかったのでしょうか…? 私がアナウンスを見落としているかもしれないのですが,どうしたら良いのかなと思いました。

実は余裕があったらやろうと思って忘れておりました……。次回説明します。

進化心理学は思ったよりすごく情報量が多くてびっくりしました。一度また読み返そうと思いました。

これ、「進化心理学が」というわけではなく、この授業の教材に僕が気合を入れすぎてしまったというところがないわけではないです……。

コマシラバスの活用が重要になってくると思いました。資料が多く授業内では頭に入り切らないので、復習をしないと、期末テストの範囲が広いためかなり厳しいことを感じました。

おっしゃるとおり、コマシラバスが重要です。コマシラバスでその日の授業内容の概要を掴んで、その上で教材を読み込むのです。全ての講義でこの手のコマシラバスがあれば勉強しやすいんですけどね。

少し早口で置いていかれそうになりましたが、資料に行数が書かれてあったおかげでついていけました。

それはよかったです。次回以降はもう少し余裕があると思います。初回はいろいろ説明することがあるから少し内容を減らすべきでしたね。

テストが一気に不安になったのですが、テストの形式はどういったものになるのでしょうか? 足元がかなり寒いのですが、暖房は効かないのでしょうか……。

テストは客観式に持ち込みです。選択式やマルバツで考えていますので、一通り勉強していれば大丈夫と思います。暖房については僕の方で制御ができないのですが、ちょっと聞いてみます。

「遺伝的浮動」などの「浮動」がなにかわからなかった。

あっちにいったりこっちにいったりして安定しないことです。ここでは偶然のゆらぎ、くらいの意味です。

第2回目の内容については、印象に残っているのは男性が不倫するのが当たり前だ、みたいな考えがあることです。私はそのような考えには反対なので、全て理論づけていくこともよくないのかなと思いました。

この話はもう少し後で出てきますので、その時に理解してもらえると思います。そこで言うのは「当たり前だ」という話ではなく、そういうインセンティブがある、という話をします。

保守的なプロテスタント (キリスト教) の家庭で育った私的には、結構衝撃的な話でありました。人間と動物は区別される存在である信念をちゃんと持っているはずなのに、心理学の動物実験から導出させた心理のメカニズムに対して抵抗感を持たなかった自分の矛盾に驚きました。ちょっと授業の進み具合が早いです。生物のところを理解することが大変でした。しっかり復習はするつもりですが、結構難しいな..と感じました。

そうですね、早かったと思います。授業全体の説明に最初の30分を使ったのが敗因です。信仰と科学をどう自分の中で折り合いをつけるかは難しい問題ですね。例えば科学的には死んだ人間はただのものでしかないわけですが、葬儀もせずにゴミとして廃棄することはどんな人にも難しいですね。

プリントに行が書いてあるのがすごく分かりやすいと思いました。

これは哲学者の芦田宏直氏のアイディアです。去年出た『シラバス論』をご覧ください。

メタ理論やトートロジー、メンデル遺伝など、既に知っていた事のさらに奥まで詳しく学ぶことが出来てよかったです。ほとんどは知らないことばかり立ったのですが、本当に本を一冊読んだような情報が得られたと思います。いままで人間と動物は別だとなんとなく思っていたのですが、「ヒトも動物だ」という話を聞いて驚きました。考えてみれば当たり前のことなのに、考えるまでは全くそうは思っていなかったので今日の授業のなかでも印象に残っています。小テストについてなのですが、自分の送った解答が正解だったかどうか分かるようにしてもらえると有難いです。

小テストは期間が終わったら正解が公表されます。1週間解答できるようになっているので、1週間後に公表されるしくみです。あとでまた確認してみてください。

男性は父性の不確実性から不倫をする生き物という話を聞いて、芸能人も不倫をしたらたら言い訳としてこの話をしたらかっこいいなと思いました。

炎上するし、言い訳にはならないだろうなあ。

究極要因について曖昧な状態です。究極要因とは例文「女性が化粧したりおしゃれをしたりするのは、若く見えるようにするため」のうち、「若く見えるようにする」という部分にあたりますか?

そうです、そこです。

期末テストはどのような感じですか?
用語と用語の説明か出来ればいいですか?

毎回小テストを課しているので、それをやって正解できればだいたい大丈夫です。ただ、習った直後にはいい点数が取れても次第に忘れるものなので、なんども教材を見直してください。

進化心理学をメタ理論を使って他の心理学との差別化をどう説明すれば良いんでしょうか。文章化が難しいです。

知覚心理学は知覚「についての」心理学だし、社会心理学は社会「についての」心理学です。進化心理学は単に進化「についての」心理学ではなく、進化論に基づいた心理学という意味で、あらゆる心理学の領域に適用可能であるという意味で違うのです。

色々な他の心理学に比べて進化心理学が近年考えられてきたということに驚きました。進化という概念についての考え方が昔と今で大きく異なっているように感じました。

昔と今で違うというより、多くの人が誤解しているということです。

コマシラバスの中にコマ主題細目が書いてあるのは何を話すのかがあらかじめわかることができるので便利で勉強しやすいと思いました。

そうでしょう、ちょっと初回の授業は早すぎてついてこられなかった人も多かったと思うのですが、それでも「これからこういう話をしますよ」という全体像を示すことがとても大事なのです。

ただ、2限は集中力があまり続いていないのが自分でもわかり、ぼうっとすることなく落ち着いて集中する方法を探りながらになってしまったのが残念でした。

僕もかなり疲れてあまりパフォーマンスが上がらなかった感じがします。次は部分的に省略しながらゆっくりやりたいです。

キリスト教の人は神が全てを作っていると信じてるから、キリスト教の心理学者は進化心理学を学ばないんですか?

進化心理学者にもキリスト者はいると思いますが、信仰と研究をどう折り合いをつけているかは僕も気になっています。

第二回の388から始まる自然主義的誤謬と道徳主義的誤謬ですが、道徳主義的誤謬は道徳的に好ましくない事象を否定的に捉えてしまう間違った考えというのはわかったのですが、自然主義的誤謬は微妙にわからなかったので復習しようと思います。

ここで言っている自然主義的誤謬はヒュームの法則のことで、「である」から「べき」を導くことはできない、というくらいの意味で使っています (http://blog.livedoor.jp/iseda503/archives/1916934.html)。例えば女性は性的に成熟して若く見えるように化粧をする、という事実から、「女性は化粧をするべきだ」とは言えないという意味です。これについては真剣に考えると結構ややこしい議論になると思います。本当にこれが「誤謬」と言えるのかどうか、考えてみましょう。

全体的に話すのがちょっと早すぎた。

知ってる。ごめん。

標準社会科学は間違っていると言うことであっているのでしょうか?標準社会科学という考えが多くあったという事はわかったのですが、進化心理学という観点からは違うということなのかどうかがいまいちわかりませんでした。

進化心理学の考え方からは「間違っている」ということです。

講義の内容が難しくて何度も前のページに戻って理解しようとするけれどペースが早くて次々と疑問が生まれ混乱し、曖昧にしか理解できなかった。途中に例え話だったり文章を簡単にまとめて説明された点は理解することができた。進化とは退化ではなく集団内の遺伝子頻度が時間と共に変化することだということが分かった。SSSMの内容が最もらしかったので進化心理学の立場で否定されているのか疑問に思った。

できれば事前にさらっと内容を予習してもらえるとかなり頭に入りやすいと思います。それで、途中で「あーわからない!」となったら遠慮なく手をあげて止めてください。もちろん、みなさんにとってそれがとてもハードルの高い行為であることは分かりますが……。

なダーウィンの犬は、古典的条件付けとも読み取れるのでしょうか。

条件「づけ」! は、ともかくとして、これなんの打ち間違えでしょうか。モーガンの犬かな? だとしたらあれは道具的条件づけだと思います。

自然淘汰は遺伝によっておきるが、かけ合わすだけでは遺伝子の頻度は変わらないということとの関連が分からなくなった。

これは結構概念間の理解が混乱していると思います。配偶するだけでは遺伝子頻度は変わらないということはハーディ-ワインベルクの定理から分かります。遺伝子頻度が変動しているということは、進化 (進化には自然淘汰によるものと遺伝的浮動によるものがある) が起こっているということで、それが自然淘汰によるものかどうかは、自然淘汰を引き起こす4つの前提から考えることができます。教材を読み返しましょう。

トートロジーに陥るということがいまいち理解できなかった。

これは「単なる言い換えにすぎない」ということです。90行目からのやりとりをみてください。