「社会心理学2010」の感想 (6 July, 2010)

学生から提出してもらった「出席カード」(大きい方) に書かれていた感想・質問・苦情から。この授業もこれを含めてあと3回。この「あと3回」くらいが結構きつい。

接種理論がよくわかりませんでした。予防接種の免疫力向上の例とは、どういうことですか?

予防接種のメカニズムは分かってる? 予防接種というのは、弱い病原体をあえて体内に入れることによって、免疫系に「臨戦態勢」を取らせて、強い病原体が侵入してきたときにも負けない身体を作るために行われる。それと同じように、先に反論を聞かせてその対策を考えさえせることによって、簡単に説得されにくくするようにするのが、説得における接種理論。

(ラ・ピエールの研究) 来てくれたら利益が生まれるので断らないという考え方もありますか?

人種差別というのはそんな生やさしいものじゃないのよ。他の客も、その「差別されている民族」(日本人ももちろんヨーロッパにおいては「差別されている側」) といることを嫌がる。そうなると、そのホテルにとっても利益にならない。

説得をする前にそれを予告すると、効果が低減するとありますが、抜き打ちで説得しても、話し (ママ) が終わって後々に (数ヶ月後とかでも) 反対意見を考えられたら一緒なような気がしました。

そうだけど、「数ヶ月後」だと既に遅い場合もあるよね?

美容室に行った時、お店の雰囲気とか、スタイリストとか合わなくて、もう二度と行きたくないと思っても、「次の仮予約しましょう」と言われて断れなかった経験があります。

へー。そんなお店があるのか。これまで美容室に行ってそんなこと言われたことないなあ。「1ヶ月も先の予定は分からないので、また改めてお電話します」とでも言って逃げたらいいね。一度仮予約をする (「行きます」とコミットする) と、「やっぱりやめます」と断りにくいので、うまいやり方だね。

入院や通院で3週間位休んでいたので話が変わっていておどろきました。

3週間くらい休んでいたのに同じ話をしていたほうがむしろ驚きのような気もするけど、大丈夫? お大事に。

気分がいい=良いことがあった、と考えると、その時受け手は「これをしたら○○損をする」という感覚がマヒしてしまっているのでしょうか。それとも「○○損する」のがわかっていて、それでもいいやと思っているのでしょうか?

多分、「損得」という次元で見なくなっているのだと思う。

スリーパー効果の実験において、最終的に、信憑性が高かった場合よりも低かった場合の方が説得効果が高くなっているように見えましたが、どうなんでしょうか?

平均値は若干高いが、有意ではないということ。

最初の授業で出席しなくてもテストで点をとればいいみたいなことをおっしゃってましたが、実際どうなんですか? 毎回出席カードも書くしけっこう重要なのかな? と感じるんですが……。

シラバス (契約) どおり、出席は10%、期末試験の得点が90%。

授業中スライドででてくるグラフがいつもあまり見えなくてよくわからないです。

一番前でも見えない? 見えない場合は、できるだけ前の席に座るか、それができなければあとでMoodleで見ましょう。

だんだん授業がおもしろくなってきました。

もうそろそろおしまいだよ……。

授業の出席点はどのようにつけるおつもりなのですか?

おつもり! カードリーダーにちゃんと通っていて50%、出席カードを (3行以上書いて) 提出して50%。15回全部出て、100点中10点。

教室の寒さは言えば調整できるものなんですか?

この教室は窓側に設置してあるクーラーで調整が可能だから、言えば直せる。

寒くてもなかなか言い出せないのは、「他の人は暑いのかもしれない」とか「静かな中で発言しにくい」といった考えがあり、「我慢すれば大丈夫」と考えたからだと思ったのですが……これは他者のことを考えているから認知的均衡理論で考えるのですか?

いや、むしろ「裸の王様」(「沈黙の螺旋」) だろうね。

友達が今からiPhoneを買うか、Softbankを買うかなやんでいますが

iPhoneってソフトバンクよ? まさか、ソフトバンクを買収するって話? まあ、その方が確かに話ははやいが……。

社会心理学の世界ではそんなに昔の研究でも関係なく学ぶのですか?

一応、学ぶ。もうデータとしては価値がなくなってしまっているものも多いけど。認知的不協和の話なんかも、社会心理学の教科書にはたくさん出ているけど、もう古くて誰も研究していないしね。

今日前の席の人達が後半しゃべり続けていてかなりイライラして

そういうときはちゃんと注意すること。その権利があるんだから。

私は薬には効果だけではなく、気分も関係していると思います。

へんな「薬」じゃないよね? 薬には薬本来の効果と「偽薬効果」と呼ばれる効果 (薬を飲んだだけで治った気分になって、本当に効果が出てしまう) がある。ふつう、効果のない薬を飲んでも、病状は (何も飲まない状況よりも) よくなる。

ある本で、食事についての社会調査を行ったのだが「私は健康志向なので、必ず野菜を摂るようにします。」という態度をアンケート調査ではとっておきながら、実際の食事の場面はレトルト食品や菓子パン中心の食事を摂るという行動をアンケート対象者はとっていました。(中略) これは現代人のみの特徴なのですか?

現代人だからってわけじゃないでしょう、たぶん。

CMは私たちを説得するものだといっていいですか。

はい。

私も以前、この大学を辞めたいと考えていたときがあり、母親の気分がなるべく良いときに、説得していたことを思い出しました。

やめちゃだめよー。

古典的研究とは、昔の研究という意味ですか?

昔の研究で、しかも現代の研究者にとっても重要な意味を持つ研究ということ。

私は最近タバコを吸い始めてやめようとは思うけれど、ストレス軽減にもなるしあまりやめる気はありません。

ああ、でももてないよ、吸ってると。特に女性は。かなり損。

スリーパー効果とうわさは関連しているのでしょうか。

ああ、鋭いね。最初は「あやしい」情報だったものが、スリーパー効果によってある程度信頼できる情報ということで一人歩きを始めることはあるかも。

まぁ、私もタバコは吸いますが、やめろって言われてもやめはしないですね。たくさん説得されてきましたが。

喫煙は依存症という病気なんだから、そりゃやめろと言われて簡単にやめられるものではないよ。ちゃんと医者に行かないと。

(予告の効果) 宗教とかの勧誘をする人はこういう時間を与えようとせずに、一方的にしゃべり倒してきます。

電話の場合には、受話器を置いて放置プレイ、対面の場合には無視。

発表などで、まず最初に結論を言うと予告効果で説得されにくくなるのでしょうか。

聴衆が「説得されてたまるか」と思っている場合にはそうかも。でも、学会発表なかは、基本的にみんな「理解しよう」として聴いているのだから、むしろ最初に結論を言ったほうがいいね。卒論発表でもそう。

私はTwitterはしてません。

しましょう。@daihiko をフォローしときましょう。

(予告の効果について) 個人の思考能力の違いによって結果が異なるということはもちろんあるんでしょうか。

そもそも説得内容を理解できるかどうか、それをちゃんと聴こうとしているかどうかは多いに影響する。

先生に「無条件に単位を下さい」という要求をしたあと「どこが試験に出るか教えてください。」「試験の比率を下げて下さい。」と要求を下げて行くと要求を飲んでくれますか?

予告しなかったら、飲んでいたのにー。

先生はいつか空を飛ぶことが実現すると思いますか?

もうしてるじゃん。宇宙だって行けるぞ。