「進化と人間行動2014」の感想 (30 Sep, 2014)

学生から提出してもらった「出席カード」(大きい方) に書かれていた感想・質問・苦情から。二回目の授業。ようやく元気に話せるようになった。しばらく授業で話していないとなかなか元気が出ない。

究極要因≒機能的説明はリンゴを甘く感じた方が人間にとっては都合がよいということですか?

まさにそう。「都合のよいもの」はおいしく感じるようになっている、と言ったほうがいいかもしれない。

どうしてネコはビタミンCを自分で作れるようになったのでしょうか。

あまり知らないけれど、ヒトが進化の過程で失ったビタミンCを作れる機能をネコがまだ持っているという話なのではないか。ビタミンCを自分の身体で作るためにコストをかけるよりも、ビタミンCは外部から取り込んだ方がよかったのだろう。

食物の嫌悪条件 (註: 「づけ」) としては、身体を防衛するためや、植物に含まれる毒を避けるためなどの理由があるとのことですが、これは小さい頃よく言われた「嫌いでも食べてたら美味しく思えてくるから」という論? で改善されるものなのでしょうか。

全く個人的な意見だが、まずいと思うものを無理矢理食べさせられてもおいしいと思うようにはならないと思う。僕は偏食が多いほうで、子どもの頃は魚を一切食べなかったが、大人になっておいしい魚を食べる機会が出てきたら食べられるようになった。おいしいものを一度でも食べたら結構いけるのでは (全くアカデミックな説明ではありません)。

共通の祖先とはどのような生命体なのですか。

どこまで遡るかによるよね。30億年も遡ればバクテリアが共通祖先。

ブラームスの諸作品の中で特にお好きなものは何ですか。

交響曲は4つとも割と好き。

自分は1年生なのですが、ゼミが始まったら、中西先生のゼミに入りたいと思っているのですが、先生のゼミを受講できるでしょうか。

現在のやり方は、「心理学実習II」の成績で並べて、成績上位の人は希望するクラスに入れるようになっている。もちろん、中西ゼミがその年人気がなければ悪い成績でも入れるが、たまたま希望者が多かったりすると成績上位者しか入れないという仕組み。がんばりましょう。

単に苦いものが嫌いなだけなら至近要因でいろいろ理由を付ければ究極要因になるということなのでしょうか?

その理由が「結局は生存と繁殖に有利だから」というものであった場合には、進化論的な究極因になる。

なぜ食べたことがないのにその食べ物が嫌いになる、食わず嫌いというものがあるのでしょうか?

むしろ、「食べたことがないから」嫌いなのではないか。基本的に食に関しては保守的になるものだと思う。食以外の例だと、韓国人を一人も知らないのに韓国人のことを嫌いな人というのは山ほどいる。

IMD先生の授業とも関連していそうである。

そうである。

最近スタイルが良い人が多いですが、食生活の変化やその方が良いという傾向によるものなのでしょうか。

どういうスタイルが「良い」とされるかという基準を考えることがまず先だと思う。例えば女性はスリムになりたがるけれど、男性はガリガリの女性にはあまり魅力を感じない。性差や文化差、時代による変化があって、「良い」スタイルは何かを考えること自体がとても難しい。例えば女性がだんだん脚が長くなって胸が大きくなっているという話だったら、椅子を使うようになったこと、栄養状態が西洋風になったことが原因なんじゃないかな。

同性愛の話が出ましたが、具体的にはどのような研究が行われているのでしょうか。

ここらへんはどうでしょう?

子孫を残すことに意味や動機を与えるのではなく、結果として子孫が残るように、その行為自体に動機が生まれたと考えて良いのでしょうか。

例えばケーキが好きなのは「甘くておいしいから」だよね。べつに「栄養価が高いから好き」なわけではない。そういう意味で、至近的な動機の内容自体はは進化とはほとんど関係がない。

植物が動物からの防御のために苦み物質を出すとしたら、どうしてイチゴやとうもろこしなどは苦く感じるより甘く感じるんですか?

とうもろこしを食べた翌日のうんこをよく観察してみよう。消化されずに残っているとうもろこしを見つけられるはずだ。むしろ食べられることによって自分の子孫を広げて行く戦略を採っているのだろう (これと似たようなことを書いてくれた人がいた)。

子孫を残す形質を持っていないものは、一時的にでも生まれたり、存在したりする、または存在した可能性はあるのでしょうか。

もちろん。どういう形質が残るかは環境によるから、その環境に適応しない形質でも、将来の環境変動で突然適応的な形質になるかもしれない。突然変異などもそう。

なぜ人間に血液型が存在するのですか? みんな同じだから輸血するときに便利ですし

進化は「輸血」なんて想定していないからね。今後輸血ができないために死ぬひとが多くなれば一つの血液型に集約されるのかもしれないけれど、その可能性は低いだろうね。

今さらなんですが、自然淘汰って何でしたっけ?

自然淘汰を成立させる4つの条件について、心理学概論Iのノートを復習してみましょう。

幸福感や疎外感にも必要性があるのですか?

それを全く感じないと困ることは多いだろうね。

ビールもピーマンも何回飲み食いしても好きになれません。

ビールはビールスタンド重富に行ってみればいいよ。

(前略) 体にいいものはおいしくないと現代ではいわれることです。良薬口に苦しといいますが

例えば薬はまずいけれど役にたつ。とはいえ飲み過ぎると身体に悪いよね。薬は毒でもあるから、まずくて当たり前ではないか。

苦いとかすっぱいと感じるものは人間にとって必須ではないということですか?

進化環境では「そういうことが多い」ということで、必ずしもそうとは限らない。

突然変異は私たちに必要なことだということですか?

環境変動があった場合、それまで不適応だった形質が突然変異によって現れ、新しい環境に適応することがあるので、突然変異がなければ困る。

中西先生の集団力学があるのを知らなくて、もう卒業してしまうので受けられなくて残念です。

卒業できるとは限らないよ。

私の両親はA型とB型で私と姉はO型とAB型なのですが、これは両親がAOとBOといった遺伝子型ということですか?

そう。

あと髪は脳を守るためにあるはずなのに、なぜなくなることがあるのですか?

男性ホルモンの影響。男性ホルモンが多いことの利点もあるので、そこはトレードオフの関係にあるのだろう。