「心理学概論I 2014」の感想 (5 June, 2014)

学生から提出してもらった「出席カード」(大きい方) に書かれていた感想・質問・苦情から。

あまり子孫を残すことに魅力というか興味がないのですが、なぜ子孫を残そうとするのですか。

「子孫を残そう」と思ってみんな残しているわけではなくて、「異性とセックスをしたい」という気持ちを持つことが子孫を残す上で役立っているという話。性的な興味のある人とない人だったら、前者の方が子孫を残しやすいでしょう? つまり、性的興味を持つ人が増えていく。

遺伝というものに自分が決定されていてくやしいです。

そんな運命論みたいな心配をする必要はないよ。あなたは自分で何でも選べるじゃない。今日お昼に食べるメニューだって今から決められるでしょう?

(レミングの絵) この絵は誰がどういう目的で描かれた絵ですか?

Gary Larsonというひとの絵。「目的」は知らないけれど、自然淘汰をうまく表現しているよね。

それとも本当に後天的に遺伝子が変容することがあるんですか?

虐待によって遺伝子が変容するかどうかは分からないけれど、後天的に変異することはあるよ。がん細胞なんかはそうなんじゃないのかな。

 今朝のニュースで十代の死亡原因が「自殺」が「事故」や「病気」を抜いて1位になったことをやっていて

若い人は放っておいても簡単には死なないんだよ。だから、自殺がトップになる。年齢が高くなると病気で死ぬリスクが高くなるし、車を日常的に運転しはじめると事故で死ぬことも多くなる。そうなると自殺での死亡率は低下する。

特攻隊などによって本当に集団に利益が生まれたのでしょうか。

そうは思えないね。そんなことしか攻撃の手段がなくなった段階でもう負けなんだからとっとと降参すればよかった。それで亡くなった方はとても気の毒で、彼らは日本のアホな指導者によって犬死にさせられたんだということは強く怒っていきたい。情報と補給を軽視する傾向というのは戦後の日本でも続いているのが残念だね。また戦争やってもきっと負けるよ。

(自己犠牲をする個体が多ければ集団に利益があること) 戦時中に日本が愛国心に重点を置き、戦争をすすめていったのも、この原理があったからなのかもしれないという事でしょうか。

放っておいても協力しないから、愛国心を鼓舞することによって自己犠牲を強いるんだよね。道徳教育なんかも基本的にそうだよね。国にとって都合のよい人を育てようとする。それはそれで国として必要な側面もあるが、国のために国民があるのではなくて、国民のために国があるのだということは忘れてはいけないと思う。

ヒトとチンパンジーが分かれる進化の分岐点は約何年前なのか計算で出せると先生は言っていましたが、どういった計算で求められるのですか?

例えば、放射性年代測定法というのがあって、炭素14の半減期から有機物の年代測定ができる。考古学的な証拠とこういった方法によって、年代を割り出す。あとは分子進化時計を応用する方法。遺伝距離から生物の種が分かれた年代を割り出す。

(R. Dawkins) 有名な人なんですか?

有名な人です。大学院生時代に国際学会に行ったとき、学食のテーブルの向かいに彼が座っていたんだよ。味付けが薄い食事で塩がほしかったので、パスミーザソルトプリーズとお願いしようとしたら、僕の隣に座っていた指導教官が「みろよ、あれ、Dawkinsだぜ」と言ったので、びびって塩をもらえなくなって味気ないランチを食べるはめになったのを思い出した。このように、気軽に「塩とって」と言えないくらいには有名な人。

カマキリのオスは繁殖のために後輩した後でメスを (「に」) 食べさせるということが聞いていますが、これは「種の保存」のための行動じゃないですか。

ところがオスは交尾の後必死で逃げようとするんだよ。運悪く食べられることもあるけれど、喜んで食べられているわけではない。

ライオンの集団中、新しいの (「の」は不要) リーダーのオスライオンは前のリーダーを残った子どもが (「を」) 全部殺して、これはどうしでてですが (「か」)。

※多分留学生なので、勉強のために日本語を直してあります。
前のリーダーの子どもというのは、自分の遺伝子が入っていないよね。殺して、メスに自分の子を産ませる方がいいということ。でもメスにとっては自分の遺伝子が入った子どもたちなので、必死に守ろうとするんだよ。

非自己犠牲個体のみの集団でも、繁栄はしていけるが、自己犠牲集団での利益には劣る、ということで合っていますか?

合っていません。自己犠牲個体で満たされた集団も、非自己犠牲的な個体の侵入には抵抗できず、結局自己犠牲的な個体はいなくなってしまうということ。もちろん、集団間での争いの程度が強ければもう少し様子は変わってくる (横田・中西 (2012) の論文を読むこと)。

働きアリの集団の中には2割ほどサボる個体がいると聞いたことがあるが、それは本当なのか? もし本当ならば、集団がサボる個体ばかりにならないのか?

この比率は均衡していて、全部がサボるようにはならない。というか、2割しか「働かない」の間違いだと思うよ。必要な協力者数というのは2割程度で、みんなで働いてもかえって効率が悪くなるんだよ。

先生面白いですね。

先生が面白いんじゃなくて、先生が教えている内容が面白いんだよ。

ハタチ、未だ彼女できずですが、もしかして利己的に攻め込んだらできちゃったりします?

デートしまくったらそのうちできるよ。授業でそんな質問をしている場合じゃない。

非自己犠牲集団に、自己犠牲個体が侵入したら、どうなるのですか??

侵入できない。自己犠牲して真っ先に死ぬから。

Y染色体が消滅して男性がいなくなる (中略) 人類はすぐに絶滅してしまうのでしょうか。

その変化はかなりゆっくりしたものだろうね。そのうち男がいなくても子どもが作れるようになるんじゃないの (無責任な発言)。

今世界人口は増え続けていますが、地球にとって有益だから増えるのでしょうか。

そんなわけない。人類が増えることと地球にとっての利益は全く何の関係もない。

人間は自己犠牲的に生きるべきとは考えたくないですが、そう考えるべきなのでしょうか?

「べき」の話は学問の話ではないと思う。好きに生きたらいいんだよ。

アイスブレイクは楽しいかもしれないけど

いや、だいたいかえって凍り付くよ。小学生じゃあるまいし。

あと、テストがどんな感じで出るのか簡単でいいので教えてもらえたらうれしいです。

過去問をMoodleに置いているでしょう。

(吹奏楽部) 部活ではみんな一生けん命部活のことを思って活動していました。

吹奏楽というのはノリが体育会系だよね。なんで吹奏楽部は一致団結してがんばれるんだろうね。その仕組みが知りたい。

クラスのために役に立つため、自分を犠牲にするのと種の利益のために犠牲になることは一緒ですか?

ここでは同じ話として例に出した。