「心理学概論I 2009」の感想 (7 May, 2009)

学生から提出してもらった「出席カード」(大きい方) に書かれていた感想・質問・苦情から。

連休明けなのにみんなちゃんと出てるので感心する。僕が学生なら「なんか怠い」とか言ってさぼっていたかも……。授業ではゴキブリのしぶとさとか、血液型性格判断がいかにインチキかについて少し語る。授業の本筋ではないが、これらに関連した感想が多い。だいたい、こちらが「ちょっと脱線したな……」と後悔する内容ほど、学生の興味を引くものだ。「この研究つまんねえな」と思いながら話すと、案外反応がよかったり。

人間も、いつかはかっこいい人と綺麗な人だけが子孫を残すようになったら、世の中、顔の良い人ばかり残るようになって、不愉快だと思いました。

すでになってるよ? もっとも、好まれる顔は文化や時代によって変動するものなので、今の価値観ではかるところの「イケメン」や「美人」が集団の多数を占める様になるほどの淘汰圧はかからないだろうけれど。それに、全員が同じような顔になっても、そこに微妙な差異を見いだすようになるので、やっぱり「もてるひと」と「もてないひと」という区別はなくならない。

環境に適した遺伝子のものがふえるんですよね?

たまたま、その環境で子どもを多く残せるような個体が増えるので、そういう個体の特徴を形作っている遺伝子は増えて行く。ただ、「適応していた環境」は昔のものなので、今の環境に「最適」かどうかは分からない。

人類は子孫を残すのに何十年もかかるので、早い時期に子を成す動物や植物の方が適応力が高い、と言えると思った。

それは間違い。人間は成熟するのに時間がかかるが、それには理由がある。性成熟の速さと環境への適応の程度は別の問題だ。

(日本人は) 鎌状赤血球貧血症にかかっている人は少ないのでしょうか? (中略) SSの人たちがアフリカなどのマラリアが発生している場所に行くと感染してしまうおそれが高いのでしょうか?

いずれの質問への回答も「YES」。

自分の血液型の特徴と自分の性格が近い気がします。やはり気のせいでしょうか。

多分気のせい。

先生はゴキブリがあまり恐くないと言っていてすごいと思いました。

ちょっと強がってみただけなので、「先生! ゴキブリが出ました!」とか頼ってこないでください。

鎌状赤血球貧血症の例で何を示したいのか、よくわかりませんでした。どうやって4つの仮定を示しているのですか?

遺伝的に個人差があり、その個人差が生存に結びついている。中には貧血やマラリヤで死ぬひともいる。これらのことは4つの仮定を示している。

身体の色 (肌?) がそれぞれ違うのは何か理由があるのか? と思いました。

例えば高緯度地域ではビタミンが十分ではないから、肌をできるだけ白くして太陽光を吸収してビタミンを摂取するようになっている。イヌイットは高緯度地方にいても肌の色が白くないが、彼らは生の肉を食べることでビタミンを摂取するので、肌を白くする必要はない。逆に低緯度地域で肌が白いと皮膚がんのリスクが高くなり、あまりよいことはない。

血液型による相性も気にしなくてもよいのだと感じだ。

その通り。血液型で相性とか性格とか言っているのはぼけ。

(血液型性格判断について) 雑誌とかにのっている分析は何に基づいているのかと思いました。

歪んだデータ収集、間違ったデータ解釈、主観、分析者の頭の悪さに基づいていることが多い。

ところで、用語の後の英単語も覚える必要はありますか?

ふつうのひとは憶えなくても構わない。進学とか心理関係の仕事に就きたいとか思っているひとは憶えよう。

社会学の先生が言っていたけど、「恋愛は差別だ」。なんておそろしいんだ……。

どういう意味だろう。「びじんが好き」とか、そういうことかな。誰でも平等に愛することなんて、神じゃあるまいし、できないもんな……。

周りの人々が血液型について語っているときに「血液型占いなんて何の根拠も無い!」なんて空気の読めない発言をするとたちまち敬遠されてしまうのでは無いだろうか。理屈っぽいことばかり言ってると、学校生活ではたちまち淘汰されてしまう、経験上。

そういうひとは、友達を変えたらいい。大学生のときに理屈っぽくならなくていつなるんだよ。今は最高に「理屈っぽくなる」べきときでは? むしろ空気なんて読むな。