「心理学概論」の感想 (30 Apr, 2024)

4回目は知覚心理学。主に視覚の話だが、聴覚の話もちょっとだけした。だいたい知覚心理学というと錯視の研究が紹介されることが多いのだが、それは、物理的な環境ではなく、心理的な環境を対象とするという最も心理学的な分野だからだろう。

どうもこの教材で話すのが慣れてきたからなのか、去年よりも余裕を持って終えることができるようになってきた。もう少し余裕があれば部分的にさらに詳しく話すこともできるようになりそう。

腹話術は腹話術効果という錯覚を利用しているものだということを初めて知りました。今回は様々な錯視を体験しましたが、図04-07のミュラー・リヤー錯視だけは未だに信じられないくらい違う長さに見えます。

心理学の研究は再現性が低いと随分言われていますが、錯視のように頑健な (安定的に同じ結果が出ることを「がんけんな」と言うことが多いです) 結果が得られているものもあります。僕が専門としている社会心理学の界隈は怪しいものも多々ありますが……。

「感覚」と「知覚」の区別が明確でないということに驚きました。別の言葉として存在しているため、大きな差があるのではないかと感じていました。心理学的にこの二つを使う時にはどのように使い分けているのか気になりました。

これは単に心理学ではいずれも同じものとして扱う、程度の意味しかありません。日本語として異なるニュアンスを持つというのは、また語用論の問題ということになるかもしれません。

先生はこのような心理学の基礎はあまりおもしろくないとおっしゃっていたが、このような基礎だからこそ「たしかに、なるほど」というように気づき直せるので、とてもおもしろかった。

一応誤解を解いておくと、「僕にとってはあまり興味がなかった (今もあまりないが)」ということで、心理学の基礎がおもしろくない、なんてことは全然ないと思います。自分がおもしろくないことをおもしろく伝えることもできないので、僕なりに授業では関心を持ってもらえるように構成して話しています。もしそれが伝わったのであればたいへんうれしい。

今回の講義で様々な知覚に関する心理学実験が分かった。モスキート音は15000Hzまでしか聞こえなかったので年にしては老いていると思いました。

どうせみんなすぐに聞こえなくなるのだから、気にすることもありません。

モスキート音が耳に残ったのですが、この空耳は心理学的に名前がついていたり研究されていたりしますか?

残響だとすれば教室内を反射している音が残っていてしばらく聞こえる物理現象として捉えることができると思いますが、もう全く振動がないのに聞こえているのだとすればそれは幻聴というべきかもしれません。