「進化心理学」の感想 (25 Dec, 2020)

クリスマスの日の進化心理学。しかしオンデマンドなのでクリスマス感もない。リアクションペイパーはまだ50ちょっとしか提出されていないが、この段階で回答が必要なものにフィードバックします。第13回目は「脳の進化」、第14回目は「知能の進化」。第11回、12回の文化の話はマクロな話だったが、ここではマイクロな過程を扱いました。

(第13回目)
質問です。261行目です。「カールライトには霊長類ではkが0.76、Cが0.099」というのは、脳重量を算出するための値でしょうか (259行目で骨格重量と脳重量の場合ではkの値が異なる紹介からの流れだったため、カールライトの値はどちらを算出するためのものなのかがよくわかりませんでした)。

カートライトの式は脳重量ですね。なので、0.06違うだけということになります。ここは補足が必要ですね。

#「カールライト」ではなく「カートライト」です。

(第14回目)
質問です。270行目からの代表性ヒューリスティックスです。スティーヴは結局、どの職業の方だったのでしょうか…? (281行目で農夫が出てきているので、農夫なのかなと思っております)。

これは「答え」はないのですが、数の少ない図書館司書よりも農夫と答えた方が統計的には正しいということになります。

感想です。286行目からの病院の問題です。心理学を学んでいるのが影響しているのかもしれませんが (サンプルサイズを気にしてしまう)、ここまで出てきた問題ではじめて間違わずに答えることができました。

さすがです。こういう問題に正解できるようになるのはよく学んでいる証拠だと思います。

年内の授業は全部終わったので今少しほっとしてます。年が明けたらまたよろしくお願いします。

最後の1月8日の分は復習なので小テストもないのですが、その日にはテストがあるので、がんばってください!

他の授業でも何度も出てきた用語が多かったのでだいたい理解できた。

例えばそれが何か教えてほしいのよ!

環境への適応についてです。私事で恐縮ですが、新型コロナウイルスに対する危機感と個人の不安特性との関連を卒業論文のテーマにしようと思っています。個人の不安特性が高ければ、新型コロナウイルスに対する危機感・恐怖心(自分もかかるかもしれない・影響により職に困るかもしれない等)も高くなると予想する場合、不安特性が高ければ、適応が高いといえるのではないかと感じました。

不安の適応意義ですね。ただ、それも「程度問題」である、という点は要注意かもしれません。びびりすぎていては何かと生活に支障をきたしますし、全く怖がらないのも困る。となると不安の最適な値ってどのくらいだと思います? そういうことを考えながら卒論研究の計画を立てたらいいかなと思います。

非対面式の授業になって2週間目ですが、対面の時より内容がなかなか頭に入ってこないので苦戦しています。見返して先週の授業内容を復習すると対面時の時よりか理解も記憶も薄いように感じました。普段はあまり思わないのですが、言葉で説明してもらいながら受ける授業の大事さがわかりました。期末試験もオンデマンドになりましたが、範囲は1〜15回の授業の内容で間違いないでしょうか。記述式での回答か、中間試験のような選択式での回答になるのかが気になります。

範囲はそうです。方式は選択式です。なので漢字とか覚えなくていいです。対面より頭に入らないとのこと、申し訳なく思っています。僕も最後まで対面でやりたかった (し、対面の方が理解しやすいと言ってもらえて授業を対面でやってきた甲斐があったなあと思いました。ありがとう)。

サンクコストの誤謬、確証バイアスなどは日常生活でよく「あっあれだ」となるので実際的に理解することができた。3囚人のジレンマ、4枚カード問題もさまざまな場面で出くわし、毎回「正答どうだっけ」と思うし、正解を聞いてもやはりすぐにはピンとこない。これが進化環境では適応的だったことはわかったが、現代だとバ (COVID-19の検査、偽陽性・偽陰性で騒がれていたのが記憶に新しい) なるべく気をつけるべきだなーと思った。気をつけてもまちがうときはまちがうと思うけれど。

気をつけても間違う、というのが大事なんですよね。われわれは間違うように進化してきた、ということです。しかも、多分間違えたほうがよい環境であった、ということは重要でしょう。

13回目の大半のところは読んで理解ができましたが、「チューリング・マシンはデジタルで有限ですが、神経系はアナログで無限です」という部分が正直あまり理解できませんでした。

ここはさらっと流してもらって構わないところですが、神経系はデジタルで処理されていないということです。0と1で処理しているわけではなく、0と1の間に無限の段階があるわけです。

14回目は結構個人的に好きな内容です。(何故か「知能」という言葉に引っかかってしまい、興奮してジレンマ問題や計算に集中してしまいます)
関連する内容を接する度に思うことですが、「なぜ人間に合理的な思考を求めるのか」が疑問です。「人間らしいね」という言葉が好きです。それは多分機械のような完璧さを表すことではなく、非合理的な思考、一貫性のない行動、合理的ではない決定から見出す価値を表すものであるでしょう。(もちろん学問としての解明は必要であると思いますが…)

これは「合理的な思考を求めている」ということではなく、厳密に定義できる「合理性」というものをまず考えて、そこから実際のヒトの認知や行動がどのくらい離れているかを研究することでヒトの特徴を描き出そうとしているわけです。また、「価値」は進化心理学の研究とはほとんど関係がありません。何に価値を見出すかは個人的な問題です。

中国の心理学者,王〇田の〇の漢字の読み方がわかりません。

これはWangでいいです。が、この漢字は日本語だと「暁」です。

ベイズの定理の事例で出た、Bが処刑される場合のAの助かる確率は1/3と変わらないのに、Cの助かる確率は2/3に上昇するところがよく分からなかった。

これは55行目のところから読んでもらうしかなくて、ベイズの定理が理解できれば分かります。が、おそらく分かっても直感的には理解できた気にはならないでしょう。この計算が分からなければ「直感レベルでは理解できない現象がある」という形で把握してもらえたらと思います。

ところで、前回のリアクションペイパーへのFBで文化の普及には情報の伝達が必要とあったが、これは第11回97行目付近の内容と矛盾するのではないかと疑問に思った。伝達能力の中でも教育能力に関しては必要とされているわけでない(伝達能力そのものは必要である)という事なのか、文化の形成には受信能力のみで事足りるが、普及に際しては伝達能力も必要とされるのか、テキストを読む限りだとよくわからなかった。さらに加えると、教育に属さない伝達能力にはどのようなものがあるのか気になった。(12/18のリアクションペイパーへのFB通知が無かったため再度質問しました)

回答が漏れていたようで、すみません。たいへんいいポイントです。伝達には、おおざっぱに分けて、積極的に相手に教える教育と、相手の行動から学ぶ観察学習がります。どのくらいのレベルであったら「文化」と言えるのか、によってこの答えは変わってきます。ヒトと同じレベルの蓄積性のある文化ということであれば、もしかして教育が重要なのかもしれません。しかし、これはまだちゃんと分かっていません。もしかして、教育がなくても、単に受信能力さえあればヒトと同じレベルの文化が成立するかもしれません。

すみません、小テスト第10回の「多層淘汰理論によれば、集団内淘汰のスピードが集団間淘汰のそれを下回れば、協力は進化する。」という問題について質問があります。この問題の答えは「×」が正解となっていましたが、第10回資料の178行目に「集団内でフリーライダーが跋扈するスピード(集団内淘汰)を集団間の淘汰圧による集団絶滅のスピード(集団間淘汰)が上回れば協力は進化する」と書かれていたので、答えは「○」なのではないでしょうか。

あ、本当ですね、すみません、間違いです。つまり、正しいです。直しておきます。ありがとうございます。

ベイズの定理とタクシー問題をもう一度詳しく教えてもらいたいです。

これはもう88行目からを熟読してもらうしかないです。できるだけ省略せずに説明したのが88行目からのところです。重要なのは、aからdまでの4つのパタンが存在するということです。どうしても分からない場合は、大学に来られるようになったら連絡をください。いつでも詳しく説明します。

生物における〜属、〜科目、〜種といった棲み分けは進化の過程と考えても良いのでしょうか?

あれは進化の過程を考えた分類もあれば、そうではなくて表面的な類似性から分類する場合もあります。確か2回目あたりの資料でそういう解説を書いた気がします。

以前、人間の脳は今も大きくなり続けていて、いずれ出産は帝王切開でないとできなくなると聞いたのですが、これは本当なのでしょうか。

それはちょっと分からないです、すみません。帝王切開で特に問題がないと言うことを考えると (つまり、そこで淘汰圧がからないと考えると) いずれ出産は全部帝王切開になってもおかしくないなとは思います。

基準率や期待値など,聞いたことはあるはずなのにあまりピンと来ていなかったものもありますが,プロスペクト理論やフレーミング効果のあたりから,心理学概論などで聞いたことのある内容になり,大まかにしか知らなかった内容を恐らく初めて聞いた時とは異なる視点で改めて知るようなものもありました。今日はなぜだか全体として読むことに集中力が続かず,思い出したことを調べたり復習したり気分転換をしながら少しずつ読んでいたので,わかった気になってしまっている可能性が高そうだなと自分で警戒しています。今日はかなり時間がかかっているので,集中できそうな時まで時間を少し置き,通して読むことと,ほかの人がリアクションペーパーに書いた質問への先生の返答などもしっかり読んでいかなければなと思います。

他の授業の課題もあると思うので、これだけの分量を読み込むのは結構たいへんだろうなと思っています。できるだけ分かりやすく、と書いてはいますが、これは今年度初めて書いた原稿なのでまだ分かりにくいところもあるかもしれません。

ターム4という短い期間でしたが、ありがとうございました! 期末テスト頑張りたいと思います。

こちらこそありがとうざいます。今年は教養の心理学、この進化心理学と文章で教材を作るというはじめての試みをしてみました。みなさんはこのコマシラバス授業の第1世代ということになりますが、最終試験のできが、僕の授業教材のできを反映するのだと思ってこちらも緊張しています。がんばってください!