「心理学概論I 2013」の感想 (23 May, 2013)

学生から提出してもらった「出席カード」(大きい方) に書かれていた感想・質問・苦情から。一卵性の双子の行動が似通っているのは生育環境が似ているのではないかという感想があった。これはその通りで、行動遺伝学ではこうした共有・あるいは非共有の環境の効果も考えた上で、遺伝の影響を検討している。

海外ドラマのクリミナル・マインドとかで、犯人像を持ち物や家の置き物から考えていくのも心理学の応用ですか?

いわゆる「プロファイリング」だと思うけれど、その分野については全然知りません。そういうのに興味があれば科学警察研究所とか科学捜査研究所に就職するのがいいかも (先輩でも就職したひとが何人かいるはず)。

(托卵鳥) 巣を作らず托卵する方がベネフィットが多いということなのでしょうか。

托卵が失敗するコストと成功するベネフィット (巣を作るコストが省かれることも含む) の差が、自力で巣を作って繁殖することのコストとベネフィットとの関係と釣り合っている (か、前者の差がポジティブな方向に大きい) ときには、托卵をする個体が登場する。

(前略) 植物や虫たちが、自らの意志でそのような行動をとるということですか。

何が「意志」なのかは難しいところだけど、意識とか意志があるかどうかは問題じゃなくて、ある行動を採った個体は子孫をたくさん残し、別の行動を採った個体は子孫をあまり残せない、という行動とその結果の関係が重要。

なんで共喰いが起こるんですか? 自分と同じ生物を食べても、自分の種が減ることになって、子孫が少なくなると思います。

個体にとって「種を守る」ことに合理的な理由はほとんどない。同じ種といっても共有している遺伝子は「血縁関係」が近いかどうかによって随分異なる。むしろ餓死するくらいなら同種の他個体を食べたほうがいいこともある (しかし、それによって様々な問題が生じることも示されている。狂牛病の問題とか)。人の共喰いの例も昔からある。最近の話だと太平洋戦争中の日本軍とか。

ところで先生は、ナチスが行った心理学に関する実験で、関心又は面白いと思った実験はありますか?

全く申し訳ないのだけど、ナチスが行った実験については全くといっていいほど知りません。むしろ調べて教えてほしい。

Macの話しをきいて……パソコンを買わないといけないのですが、大学で使う上で必要な機能は何ですか?

何でもいいと思うよ、大学でレポート書いたり調べものしたりするのに使うってだけなら。でも、和製のPCはだいたいいらないソフトがてんこもりで最初から動作が鈍かったりと、許せない仕様になっていることが多いので要注意。MacBook Air 11インチを以下のようにカスタマイズして購入しよう (お金があったらもっと贅沢仕様にしてもいいけど)。以下の仕様 (我慢の方を選んで) で130,261円 (オンラインショップの学生・教職員向けで)。なお、互換性の問題が気になってMicrosoft Officeがほしければ、+13,000円くらい (Windows版より圧倒的に安い!)

  1. CPUはお金がなければ1.7Ghzで我慢
  2. メモリは後で足せないので、8GB
  3. フラッシュストレージはお金があれば256GB以上、なければ128GBで我慢
  4. Apple USB SuperDrive
  5. Keynote、Pages、Numbersを購入 (あとでApp Storeで買ってもいいけど)
  6. HPの一番安いプリンタを付けると+7,000円
  7. USキーボードを選択する (これはとても重要)

両親が健常者でも子どもが障害を持って生まれることがあるのは遺伝の問題ではないということですか。

鎌状赤血球貧血症の例でも紹介したように、遺伝によって決まっても、両親とも正常なのに子どもが異常を来すことはある。

人々がクモを嫌うのは、毒を持っているイメージとかじゃなくて、ただ見た目が悪いからだと思います。

では、なぜクモのような形の生き物を「見た目が悪い」と思うのだろう?

一卵性双生児は全く同じ遺伝情報を持つとありましたが、それでは性別の異なる男女の一卵性双生児というのはありえないのですか?

基本的には。そういう特殊な場合もあるとかいう話もあるけど。

適応度の計算について R増加率=卵を生んだ2匹/3匹 * 2匹で産んだ卵7個/卵を産んだ2匹 (1匹あたりの卵の数) ≒ 2.3 ということですか?

正解。

適応と進化はどうしても同じようなことだと思ってしまいます。

進化を引き起こすのは自然淘汰と遺伝的浮動で、そのうち自然淘汰が適応を生み出すというふうに理解してもらえるといいと思う。つまり、進化は適応を生み出す自然淘汰と遺伝的浮動から成立している。

最適≠最高の最適の説明の部分で、例としてあげられた、ブタは空を飛べないの例の意味が全く分からなかったのですが、もっとわかりやすい例はありませんか?

最高の最適というのは、その生物の進化上の制約を全く考えない最適のこと。例えばヒトはせいぜい100mを10秒切るくらいでしか走れないが、もっと速く走れたほうがいい (最高の最適) だよね? でもそうはならない。ヒトの身体の構造上の制約があるから。

人は繁孫 (原文ママ。子孫?) を残したいから恋愛をするのですか。

人が恋愛をする動機は、進化とは無関係で、別に「子孫を残したいので、あの子と関係を持ちたい」なんてことを意識的に思うことは稀 (「あのひとの子どもを産みたい」というのはあるけど)。どんな動機で相手のことを好きになろうと、とにかく異性と関係を持ちたいと思う個体の方が遺伝子を残しやすいという話。ここは混同しないように注意したい。

(ヒトの戦略) どのような事が戦略となるのでしょうか?

大学に進学するかどうかを決定すること、配偶相手を探すために合コンに出たり異性の関心をひいたりすること、就職活動をすること、様々な行動を戦略として分析できると思う。

講義中に、講義と寛恕どっちをとるかと例を出しましたが、どっちを取るのでしょうか。

恋愛は卒業してもできるんだから、講義を取りなさい。講義を放り出して恋愛する男を好きな女は大したことがないんだし。

一卵性双生児の2人はクローンのはずなのにほくろの市が異なるのはなぜですか?

どこにほくろができるかは環境の影響が強いからじゃない?

一卵性双生児と二卵性双生児、どちらが多く生まれるのですか。

手元にデータがないから何とも言えないけど、後者じゃないかなあ。排卵誘発剤使うと後者の双子が産まれやすいでしょう?

仲間のコオロギが周囲に多くいた場合、コオロギは配偶相手獲得と生存率のどちらを優先するのでしょうか。

もしオスが多くてメスが少なければ、配偶者獲得の競争が激しいから、よく鳴いたほうがいいけれど、逆ならあまり鳴かないほうがいいだろうね。

芋虫の話は、あれは芋虫に元からある遺伝子の情報が作用しているわけではないのですか?

もちろん。その遺伝子が進化してきたという話。

授業が難しくて、よくわかりません……。

分からないところはそのままにしないで、その都度訊いてください。このリアクションペイパーでもいいけど、全てに回答するわけではないから、できればMoodleか、授業後に来て直接質問しましょう。

アドレスを変更したのですが、心理実験に再登録するにはどうすればいいですか?

学籍番号と氏名と新しいメイルアドレスを 2013joinexp@gmail.com まで送ってください。よろしくお願いします。

先日何らかのテレビで、「親から子への知能の遺伝は40%、記憶力の遺伝は26% (?)」というような情報を得たのですが

知能の遺伝率は52%と手元の資料にはあるなあ。知能といってもいろいろな知能があるけど。

(字の汚い人は頭がいいという仮説?) これって何か金木があるのでしょうか?

分からない。僕の知っている人で優秀な人は確かに字が汚いけど、統計的にどうなのかは分からないなあ。調べてみる?

なぜ研究者は実験でよくラットを使っているのですか。

ヒトと同じほ乳類で、扱いやすいから (繁殖させやすいとか) じゃないかなあ。マウスもよく使われるよね。

(芋虫の戦略) 頭で考えた上での行動ですか? それとも自然に身についた行動ですか?

その違いはどこにあるの? 「自然に見についた行動」であっても、行動している異常脳 (頭) は使っているよね?

なぜ虫を探すのに、5分なんですか?

ただの例だよ。