「心理学概論I 2013」の感想 (2 May, 2013)

学生から提出してもらった「出席カード」(大きい方) に書かれていた感想・質問・苦情から。

遺伝的浮動は適応を生み出さないとありますが、シバリングといった現象は適応ではないのでしょうか (ex. 北国の人が南国に行くと、薄着になる……とかも)。

寒いときにガタガタ震えるようなシバリング現象は、もちろん適応の結果であって、遺伝的浮動ではない。でも、北国の人が南国に行って薄着になるのは、遺伝子は変化していないわけだから、この授業で言うところの「適応」ではない。

先生は寝たいけどここは起きとかなければいけない時どのようなことをしますか。

眠いのはどうしようもないので、眠くならないように睡眠時間を長くとることが大事だと思う。

卒業後には習ったことが誤りであるということもありえるということですよね……。

「誤り」というよりは、複数ある立場のうちの一つの立場からの見方であった、ということが分かるということはよくあると思う。

人間は将来、固いものを食べなくなってあごが細くなるかもしれないなど、外見の進化が予想されていますが、実際はどうなんでしょうか?

それは分からない。今後地球がどういう環境になるのか分からないので。例えば栄養状態が今後ひどく悪くなるかもしれない。

はやく心と行動などについてやりたい。いつやるんですか。

今でしょ、とか言わせたいんだろ? この授業では残念ながらほとんど扱わない。来年度開講予定の「進化と人間行動」まで待て。

本来、黒髪である子が染めて茶髪にした場合、茶髪であるその状態は表現型ではなく形質に含まれるんですか?

茶髪は表現型ではないけど、形質と言えば形質だね。

進化ときいてイメージするのはポケモンなんですが、ポケモンの進化って進化論的には進化ではない気がするのですが

あれは変態だよね。

あと、血液型と性格は関係がないと言われていますが、ではどうして関係があるように人々は言うのでしょうか。やはり通ずるものがあるから話題になるのだと思います。

いいえ。全く根拠がなくても人々が信じ込むなんて話はこれまで心理学で繰り返し示されて来た現象。これについては、心理学の論文がたくさん出ているから、図書館で検索して読んでみるといい。

いじめの話、なんだか聞いたことがあると思ったら、先生の講義高校で受けたのを思い出しました。

模擬講義か何かかなあ? そういう話をしたことあったっけ……。

この世に人間の心を読みとる能力を持った人はいると思いますか?

ほとんどの人は、相手が何を考えているか、そこそこ当てられるよね?

良心は二人とも二重なのにそこから一重の子が生まれてくるのは遺伝子と何か関係があるのですか。

二重になるか一重になるかについての遺伝の話は知らないので、何とも。二重まぶたは優性遺伝だから、二重の親同士から一重の子が生まれることはある、という情報は見つけたけれど、裏は取っていない。これはA型の親どうしからO型の子どもが生まれることがあるのと同じだよね。脂肪が少なくなって途中から二重になるひともいる。

自然淘汰の完成系が現在の私たちなのでしょうか?

自然淘汰には「完成」などない。

私のスマートフォン (Android) ですが、Moodleはできるんですが、スライドがまったく見れないです……。

最もよい解決方法は、iPhoneにすることだけど、できなければ、とりあえず「Acrobat Reader」のアプリを入れてみて。

女性の方が寿命が長いのは子どもを多く残すための進化の結果ですか?

でも、女性は現代でも40歳を過ぎると妊娠をほとんどしなくなって、50歳くらいには閉経を迎えるよね? だから、女性が長生きするのは進化的には不思議なこととされている。「おばあちゃん仮説」によれば、妊娠しなくなった女性が集団内にいることで、孫の世話ができるので、結果として自分の遺伝子をより多く残しやすい、というような説明はある。実際、おばあちゃんの存在は子育ての時にはとても重要。

最近、「人狼」という心理ゲームがあるらしいのですが、知っていますか。

心理学とは関係なさそう。

高校の倫理の授業で、「オオカミに育てられた姉妹」というのを見たのですが

また高校倫理か! 本当に高校の倫理では嘘ばっかり教えているんだなあ。狼に育てられたという話は多分嘘ということになっているよ。

現代心理学で純化というのを教えてもらったが

それ「馴化」じゃない? それは個体が何らかの刺激に慣れることだから、適応とは関係ない。

進化と適応の違いは、進化は身体的なもの、適応は精神的なものというような解釈でおおよそ程度なら通りますか?

全然違うよ。自然淘汰が適応を生み出す (そこでは、集団中の遺伝子頻度が時間的に変動する) 過程のことを進化という。

職場やサークルに適応するのはその人の性格や外見、能力で決まると思っていましたが、誰でも時間とともに環境に適応できると知りました。

ちゃんと話を聞いてた? 職場やサークルへの適応の話は、生物学的な意味での「適応」とは異なる、という話をしたつもりなんだけど。

日本ではA型、O型が多めでB型、AB型が少なめと聞きましたがどうしてですか。

血液型は適応の結果ではなく、遺伝的浮動と考えられるから、偶然なんじゃないかな?

自然淘汰は常に起こり続けているということでしょうか。

そうそう。

自然淘汰や進化が起こるということは、今突然変異とされている両性具有やアルビノ (アルビノって突然変異で合っていますか?) も将来環境が変わってそういう退室の方が行きやすくなったとしたら、いつか人間がそういう風になることもありえるかもしれないということですか?

可能性としてはあるね。でも、ほとんどの突然変異は環境に適応できないもの。

人間もメスの前で何らかの求愛行動したりするのでしょうか?

モテるためにおもしろい話をしたり、格好をつけたりするじゃない。

自然淘汰で、環境に適した性質が集団中に広がるとありますが、中には集団に属せない人 (1人が好き、集団にとけこめられない etc…) がいます。それでも、自然淘汰は起こるものですか?

それは全然関係ない。ある遺伝子が、世代交代に伴って増えて行くことを進化というのだから、「集団とうまくやれない」かどうかは全く関係ない。多分、あなたはきちんと復習をする必要があると思う。これまでの話がちゃんと理解できていないのではないかと心配だ。

高校までに習ったものも大学で習うものも本当とは限らない、というのなら私たちは何を学んだことになるのですか?

少なくともその時点までに分かっている知識を得て、まだ分かっていないところとか、議論されているところを研究するためにはどうしたらいいかを学ぶ。そうやって少しずつわれわれは知を増やして行くしかないよ。

学内で先生を見かけましたが、周りの学生に負けずおとらず若々しかったです。

どうもありがとうございます。今日一日楽しく過ごせそうです。

モグラの生活環境が変わって『目がある』という表現型が適応されるようになったとしたら、遺伝子はどこからくるのでしょう?

進化は逆戻りできないので、モグラにわれわれと同じ様な目ができるのは不可能だと思う。