「集団力学2011」の感想 (24 June, 2011)

学生から提出してもらった「出席カード」(大きい方) に書かれていた感想・質問・苦情から。欠席回数は気が向くと答えます (今回の記事のほとんどはフランスから戻る空港とか飛行機の中で書いたので、出席回数を途中からチェックできないオフラインの状態でした)。基本的に自己管理するようにしましょう。

ところで欠席の回数が気になっているんですが何回ですか?

09生のYさん、多分3回。

誰もいない所で1人で作業するのと誰かが周りにいる所で1人で作業するのとでは後者の方が作業ははかどるのですか?

慣れた作業の場合はそう。慣れていない場合は、前者の方がはかどる。

集団の中に誰がいるかによって抑制される度合いは大きく異なりますか?

評価懸念も効果があるので、自分を評価するような立場の人がいると効果は社会的促進/抑制の効果は大きくなるはず。

先生は家にゴキブリが出たら殺せますか?

それはいつも僕の仕事だよ、不本意ながら。

なぜ実験にゴキブリを使うのですか? 私が思うに、ゴキブリは頭のいい生き物なので、実験には向いてなさそうです。

なんで使うかは分からないけど、コストが安いとか何らかの理由があるんだろうねえ。頭がいいから適さないなんてことはないよ。ネズミもよく使うけど、ネズミはゴキブリより頭がいいんじゃない?

小学生の時は、発表することによるごほうびと、発表しないことによる罰が明確に示されていたので発表していたが、今大学生になると、そのほうびと罰が明確に感じとれない

その説明は一理ある。でも、もともと「発表したらほうびを与える」という小学生時代のシステムに問題がある。発表とか質問をすると得をするのは本人であるはず (コメントをもらえたり、分からないことが分かるようになったり) なのに、外的な報酬を与えることで、「発表するのはほうびをもらいたいから」と思うようになってしまったのかもしれない (内発的動機づけの低下)。

“無意味綴り”という単語をきいてエビングハウスのことを思い出しましたが、ペッシンとエビングハウスは何か関係があったのでしょうか。

関係があったかなかったかは分からないけど、記憶の実験で無意味綴りを使うのはエビングハウス以来常套手段になっているはず。

社会的促進と抑制は会社の作業の割り当てとかで応用できませんか?

できると思うけど、現実社会にはいろいろと複雑な要因があるので、そのまま使ってうまくいくかどうかは分からない。

昔の人はタイプライターとか使って論文を書いていたんですか。

西洋の人はそうだろうね。日本人はちょっと前まで手書きで書いてたよ。

僕は、単純作業は一人の方が良いです。

実験してみないと分からないよ。本人がそう思い込んでるだけかもしれないし。

ザイアンスの動因論は英語では、drive theoryというみたいですが、促進理論みたいな訳が本来ふさわしくないですかね?

「促進」は、facilitationという言葉の訳語として既に使われている。driveはその個体を外部から動かす要因ということだから、「動因」というのは結構よい訳だと思ってる。

今回見た論文の英語はけっこう簡単だったので、意外でした。

科学論文の英語は、通常とても簡単。究極には式とかプログラムで示せるはずだし。

家が山なのでゴキがとても出ます。どうしたらいいですか。

掃除をこまめにするといいでしょう。髪の毛さええさにするんだから。

(ザイアンスの実験) ゴキブリも頭を使っているということですか?

「頭を使っている」というのはどういうことだろう? 反射じゃないってことかな? そういう意味なら、多分「頭を使っている」。

先生がiPhoneをおすすめするので迷います……。

買えばいいのに。びじんはみんな持ってますよ!

ところで、私は4回休んでいる気がしますが、ギリギリセーフですよね?

本当に4回なら大丈夫。というか、なんでもう4回も休んでるのよ、講義ためになるのに。

学校や会議もオンラインで行うようにすれば、エネルギーの節約になるのではないだろうか。

その通りだね。出社する必要がない仕事をしている人は多いでしょう? 教授会なんかもオンラインでいいよね。

実験でゴキブリを使うなんてびっくりしました。人間の行動はゴキブリの行動と似ているということですか……?

共通の行動傾向があるということ。多分進化史のかなり前の段階で身に付いた傾向なんだろう。

人の嫉妬や束縛はどういったことで生まれるのでしょうか。

異性間の問題のことだよね? それなら、性淘汰の観点から説明がされていて、男性にとっては相手を寝取られて自分の遺伝子を含まない子どもを育てるはめに陥らないようにするための戦略 (生まれた子どもがいったい誰の子どもか、分からない)、女性にとっては生まれた子どもをちゃんと育ててくれるようにするための戦略 (女性は自分が生むので、その子が自分の子だと確信ができるけど、育てるのはたいへんなので、ちゃんと自分のもとに資源を持ってきてくれる相手じゃないといけない)。

この実験の道具とかスキナー箱とか、心理学実験で使う道具は実験者が作っているのでしょうか。

そうだよ、昔から心理学者は工作が得意で電気の知識もあった。最近はコンピューターを使った実験が多いからそうでもないけど、動物を対象とする実験をしている人は今でもそういう装置を作るのは得意なんじゃないかな?

(社会的促進) 無意識に競っているからなのかなと思いました。

社会的促進は、他者がそばにいるだけで起こる (一緒に作業をしなくても) ので、その説明は間違い。

知らない人よりも自分の知っている人が見てるほうが緊張したりすると思うのですが……。

評価懸念のことを考えると、その通り。

先月、家のパソコンのネットブラウザをIE 6からFireFoxにしました。大分早く (原文ママ) なってうはうはです。

IE 6はもう死んだブラウザなので、使わないほうがいいよ。FireFoxも悪くないけど、Windowsで古いマシンだったら、Google Chromeが軽くていいんじゃないかな?

先生が心理学論文の表示に使っておられたのはサファリでしょうか。画面がかっこいいなと思ったのですが

Macに最初から入っているSafariを使うことが多い。画面がかっこいいのは、Macのフォント表示がきれいだからじゃないかなあ。WindowsのSafariもフォントを工夫すればきれいかな?

同調行動は、戦争や差別などの動因になることはあるのでしょうか。

ここらへんは現在研究をしているところで、多分何らかの関係はあるでしょう。

いじめも同調なのでしょうか。

同調圧力によっていじめが維持されるようなことはあるはず。それが「原因」かどうかは分からない。

先生が授業の冒頭で、”土曜日に授業をすることは教員にとっても本当に面倒臭い”と繰り返し何回も言っていたのを聞いて、私も今日はさらにやる気が減りました……。

それは気分の伝染だね。いやな気分というのは伝染するのだ。失礼しました。

無意味綴りの課題は複雑な課題ということですか?

だよね、複雑で慣れていない課題。

(社会的促進/抑制について) 他者が集団の中の人間 or 集合でしかない人間では何か違いが出ないのでしょうか?

分からない。調べてみないと。

単純な課題とか複雑な課題っていう基準は、何を基準にしているのですか?

個人でやったときの認知負荷。あくまで相対的なものなので、「ここからここが複雑」という基準を示すことに意味はない。相対的に単純になればなるほど促進が起こりやすいし、複雑になればなるほど抑制が起こりやすい。

授業を15回やらなくてはいけないというのは、私立大学だからですか?

国立も事情は同じ。文科省の言う事を金科玉条のごとく死守する必要はないと思うけど、「親からクレームあったら面倒だな」とか、大学の上の方が考えてこういうことになるんだよね。むしろ15回にして夏休みが減ることで大学生の不利益になる (その間旅行したり、サークルの活動をがんばったり) ということは考えないんだろうか。授業を2週間ほど増やすことの効果と、その間を夏休みにすることの効果をちゃんと比較しているとは思えないけどねえ。13回で十分でしょ、授業なんてー。

今故郷 (←漢字あってます?) から母と弟が来てるので

あってる。

ここに書くと欠席回数を教えてもらえるんですか?

余裕があれば調べて教える。

(社会的促進や社会的抑制について) 他者の種類によって反応の生起にも影響があると思うのですが……。

研究のスタートはそういうところからはじまる。新しい疑問が出てくるのはとても大事なこと。

私は日頃ミスをするんですけど同調度合いが低いってことなんですかね。

それは関係ない。

バスの中で、降りる時にボタンを押すことは全然複雑な動作ではないですよね。それでも「次のバス停で降りるからボタンを押す」という単純な課題にも遂行が抑制されてますが、なぜなんでしょうか。

それは社会的抑制の話ではなくて、社会的ジレンマの話だからじゃないかな。

自分はもう5、6回は欠席になっている気しかしなくて不安ですが、最後まで受ける気満々です。

満々なら休まなきゃいいのに!

6/21 (火) に、トラックと電車の衝突事故で電車がとまって授業にでれなかったんですけど

JRの遅延証明と、学生証が不具合を起こしたときに提出する書類 (教務にある) を持ってきて。

高校の時の学園祭ではクラスで1つの店をやると取り組んだけど、まったく遂行は促進されませんでした。

それは社会的ジレンマの問題じゃないかな。みんなが手を抜いちゃって。

土曜日なのにおつかれさまでした。

仕事なので当然のことなのだけど、こう言ってもらえるとうれしいよね。

プロのアスリートさんとか芸術家さんとかは複雑な作業でも、人に見られることでより良い演技ができたっていっているのを耳にしますが、あれはどうなのですか。

これまで訓練を重ねてきたひとにとって、そういう作業は「慣れた」課題だからじゃないかな?

欠席の回数が不安です。多分1回休んだと思うんですが。

1回くらいなら問題ないよ。

前回くらいに (前々回かも?) 欠席回数を聞く人がいて、そこから自分の欠席回数を聞く人が増えたように思います。これは失敗を恐れるという動機ではなくて、「他の人も聞いているし、ついでに聞いておこう」みたいな動機かなと感じますが

実はみんな聞きたいんだけど、聞いていいのか悪いのか分からない状況におかれているってことじゃないのかな。誰かが聞いて教えてもらえると、ああ、聞いてもいいんだってことが分かって、安心して聞くみたいな。同調に近いね、確かに。

(勉強しているくせに「していない」と言って歩く人について) 本当に勉強していなくてそう言う人と、実は勉強したのにそう言う人を見抜く (?) ことはできないのでしょうか。

見抜いても意味ないんじゃない? みんなそう言いつつも勉強しているんだ、って思っていた方がいいでしょう?

ゼミのことですが、中西先生のゼミは希望sるう人が多い気がします……。

最近はそうでもないよ。第1希望で10名ちょっととか。最盛期は30名を超えてたけど。

意味のある単語を覚えることと、無意味綴りのリストの学習とでは、根本的に違うんですかね?

違うよね。無意味綴りの学習はこれまでほとんどやったことのない課題。

ペッシンの実験で、”無意味綴りリストの学習は一人でやった方が速い”とありましたが、複数人でやったら、無意味なものを符号化する知恵がたくさん得られるのではないでしょうか。

みんなで相談してやったらね。ここでは、単に同じ作業を一緒にやるという話で、相談してやるという話 (集団問題解決の話) ではないので。

僕は今どれくらい休んでいますか?

なんで自分の休んだ回数を覚えていないの?

(欠席回数) 全員の分をヌードル上にはればいいのではないでしょうか?

ヌードルなんてものはありません。

(欠席回数) もう大学生なので自己管理をしっかりして欲しいです。(中略) 1回だけですよね?

つっこんでほしいの? そうなの?

大学生活4年間の中で、初めて先生が暖色の服を着ているのを見た気がします。

あれそうかな。結構赤い服着てるんだけど。

私は音楽系サークルで指揮者をしてますが、確かに普段から練習してる人とサボりがちな人では本番で明確な差が出てると思います。

たくさん練習している人にとっては、「慣れた課題」だってことだよね。