日本心理学会第72回大会 (於北大)

明日から北大で日本心理学会第72回大会が開催される。「日本心理学会」はもちろん、日本で最も権威ある心理学の学会なのだが、一度も発表をしたことがない。今回も発表はない。発表が基本的にポスターというのが気に入らないということと、社会心理学者の多くは発表を日本社会心理学会や日本グループ・ダイナミックス学会で行っているということがその理由 (そんなことを言うならう小講演をやればいいのだが)。

基礎系の人が僕の発表を聴いておもしろがるとは思えないし、僕が知覚心理学や臨床心理学の話を聴いてその意義を理解できるとは思えない。

とはいえ、こういう態度は大きな問題なのだ。社会心理学者が日本に何人いるか正確には分からないが、2008年9月9日現在で、日本社会心理学会の会員数は1823名だそうだ。これは、メインの学会とするには十分な数と思う。なお、日本心理学会は現段階で7201名の会員数を誇るが、そこまででかい意味もない (お互いの研究が理解できる範囲を大きく超える)。こうやって学者が専門学会にどっぷり漬かってしまうと、心理学者なのに、他の心理学者の研究が理解できないという状況に陥る (もっとも僕はあまり「心理」を扱っていないので、自分のことを「心理学者」と言うべきかどうか悩むこともある)。学問の蛸壺化だ。

一方で既存の学問領域を完全に無視した学会もあるわけで、HBES-J (日本人間行動進化学会) では心理学者も生物学者も経済学者も社会学者も関係なくわいわいやっている。興味関心は必ずしも古い学問領域ごとに分かれているとは限らないので、そうした枠組みはぶっこわした方が生産的かもしれない。