心理学の重要な最新知見はほとんど英語で発表されるので、論文を英語で読むなんてのは全く当たり前の話で今更何を言っているのかと思われるかもしれない。しかし、そう思うのは一部の旧帝大のエリートで、地方国立とか地方私大ではなかなかそうはいかないのだ。実際僕も北海道教育大学の学部生だったときに引用した英語論文はたったの1本だけだった。血液型性格判断に関する卒論だったのでそもそも英語のものがほとんどなかったということもあるが、英語論文を1本読むのは大変だったのだ。
2003年に今の大学に赴任してから、一部の進学希望者以外は僕のゼミで英語論文を発表することはなかったし、僕もほとんど英語論文を読ませるのは諦めていた。となると、当然日本語論文だけで書ける卒論を指導せざるを得ない。実はこれは結構きつかった。
そこで今年度の3年生からは英語論文を読むことをゼミの課題とした。しかし、そうしたらゼミの第1希望者がたった3名になってしまったのだ。というわけで、いまいる7名は半分以上が不本意入ゼミである。
ところが、テクノロジーの進歩はすばらしい。Google翻訳とかなんでも使っていいから読んで来なさいと指導したら、わりとみんなちゃんと読んで来る。期待以上に読めている。これがGoogle翻訳の改善前だったら結構つらいことになっていただろう。これは本当にすばらしいことだ。英語が苦手な学生でもテクノロジーをうまく使えば英語で書かれた論文の内容をちゃんと把握することができる。もちろんおかしなところもあるので、それは発表時に訂正するが、なんといっても担当者が楽しい。
これはすばらしい。1巡でやめようと思ったが、わりとよくできているので、2巡もやろうと言ったら学生たちが不穏な表情になった。しかし、やるべきである。何と言っても担当者が楽しいからだ。
来年度も希望者は3名かもしれないが、これは続けて行きたい。