「心理学概論I 2017」の感想 (9 May, 2017)

学生から提出してもらった「出席カード」(大きい方) に書かれていた感想・質問・苦情から。

化石の発見がいろいろな研究結果を変えたり遺伝子のしくみまで分かるのはすごいと思った。

教員として、この「すごいと思った」というのからまずは卒業させたいと思う。もっと知りたいことは何か。

人間の分類できるのではないかと思う。

「種」という意味では、人類は1つ。どの人種のひととでも生殖能力のある子どもを作れるから。人種をどう分類するかという問題は難しい。

鎌状赤血球を持つ人はマラリアにかかるリスクの高いアフリカ周辺に多いとのことでしたが、そうすると酸素を多く循環・消費しながら行う陸上競技でアフリカの選手が強いのは何故なのだろうかと思いました。

分からない。まず、アフリカの選手がどういう競技で強いのかを調べるところから始めてはどうか (僕はスポーツのことをよく知らないので、そもそも強いのかどうかを知りたい)。

なぜチンパンジーやボノボと共通の祖先を持ちながら種族が分かれたのでしょうか。

そんなことを言うと、われわれはミジンコとの間にも共通の祖先を持っている。この問いは、「進化とは何か」ということだろう。

情報や技術のように物ではないものも生物的進化ではないのでしょうか。

ではない。ただ、「文化進化」という言葉もあって、そちらではものや情報の変化も進化的な概念で扱っている。

自然淘汰について、理解が深まりました。

どのくらい深まったのか知りたい。本当に理解が深まったのなら、分からないことが出てくるはずだ。

(ボノボ) 生まれた瞬間からヒトが子育てを行うと言葉を話すようになるのですか?

ならない。

先生のなかで疑う・疑わない (非科学てあろうと関係なく) の境界線はどこにありますか?

当然全てを疑うとやっていけないので、心理学だと理論がまともなことと、データがちゃんとあることが大事。ただ、データについてはなんらかのインチキをやっている可能性があるので、可能であれば複数の研究者が独立に追試を行なってそれで確実になったものは、「とりあえず疑わないでいいかな」と思うことにしている。

小さい頃からずっと思っていたことですが、私たちが存在する世界は本当に存在しているものだろうかと思っていました。

それは多分「存在」とは何かという問題になると思うのだが、僕にはこの問題を議論するだけの哲学の知識がないのが残念なところだ。