虫も食えないチキンな同級生のかわりに試食報告

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信州の伊那谷地方と言えば、昆虫食で有名だ。多分僕が、伊那谷というところでは昆虫を食うらしい、ということを知ったのは、伊那谷出身のジャーナリスト本多勝一氏の本ではないかと思う。院生時代、信州出身の先輩がおみやげで研究室に持ってきたのが蜂の子の甘露煮か何かだったと思う。瓶詰めの蜂の子の周りには学部生やら院生やらで人だかりができたが、なぜか誰も食べようとしない。結局僕ともうひとりが試食した程度だった。蜂の子は結構甘くてうまかった印象はあるのだが、あの「ぷちっ」という食感がいただけなかった。いかにも虫を食っている気分になる。

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さて、その信州出身の先輩はいまヨーロッパで仕事をしているが、先日関西に出張した折、僕の同期であるところの木公君におみやげとして持ってきたのが、この「かいこのさなぎ大和煮」だ (いまリンク先を読んでみたら、「かいこのさなぎは、伊那地方以外でも食べられているようですが、蛾 (まゆこ) を食べるのは伊那地方だけです」とある。どうせならまゆこを頼むよ、師匠)。そのブツを受けとった同期は「昆虫はキツい」と、勝手に僕にそのさなぎを送ってきた。
しょうがないので、さっそく今日の酒の肴にする。写真の通り、ちゃんと缶詰になっている。もったいぶりやがって。これならある程度長期の保存も可能だ。災害時に備えてぜひリュックサックに忍び込ませておきたい。

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今日の食卓にはちょっと不似合いかもしれない。

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開けてみた。見るからにうまそう。

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そのまま食うのもアレなので、お皿に移す。とりあえずうちの2歳児が「むしさんだー!」と喜ぶので、与えてみる。口に一度だけ含んで、ぺっと吐き出した。「いらない」。
食感は「もそっ」という感じで、中は案外ジューシーだ。「ぷちっ」とした感じがない分、蜂の子よりも虫らしくない。香りは古本屋のそれだ。なぜか、古本屋で開いた「世界文学全集」の匂いとかなり似ている。味は蜂の子の方がうまい。多分このさなぎ自体にはそれほど特徴のある味もないのだろう。10個くらい続けて食ってみたが、さらに食べたいという気が起きるものではない。といって、特別まずいものでもない。こういうものはどうもリアクションに困る。

師匠、こんどはぜひ「まゆこ」の方をお願いします。

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